自民党総裁選、どこが「脱派閥」?
Japan In-depth / 2024年9月28日 16時0分
② 拉致問題
そして、保守派が問題視しているのが、「拉致問題」への対応だ。石破氏は2002年4月から9月頃まで超党派の国会議員により発足した「拉致議連」の初代会長だった。
石破氏の総裁選挙政策集には、「北朝鮮による拉致被害者の帰国を実現するため、東京・ピョンヤン相互の連絡事務所開設など、交渉の足掛かりを作ります」とある。これが、拉致被害者家族や保守派から激しい批判を浴びている。北朝鮮側が、全員死亡という調査結果を出してきたら一体どうするのか?被害者家族らからは、北朝鮮の交渉引き延ばしに乗ることになり、解決につながらないとの意見が強い。
岸田政権下でも全く進展がなかった拉致問題。家族会が求める「全拉致被害者の即時一括帰国の実現」にどう取り組むのか、問われることになる。
③ 防衛問題
そして3番目は、一番の得意分野、防衛問題だ。
得意のはずなのだが、それがゆえに独自色を出そうと力こぶが入ってしまうのか、首をかしげるような政策を訴えている。
石破氏は、中露や北朝鮮の脅威を念頭に、「法の支配に基づく国際規範を形成し、地域の多国間安全保障体制の構築を主導します」(政策集)として、「アジア版NATO」構想を掲げているのだ。選挙戦中も、アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドのANZUS同盟などの枠組みにも言及し、他の候補者からその実現性に疑問を呈されていた。
しかし、そもそもロシアを仮想的としたNATOとは違い、東南アジア諸国が対中国の軍事同盟を望むか、といったら懐疑的な意見が多い。等距離外交を進めるインドをどうするのか。すでに日米韓や、日米豪印4か国の「QUAD(クアッド)」などの枠組みがあるわけで、それらを有機的に活用することが先決だろう。それ以前に、日本が集団的自衛権を行使できるようにすることが最優先課題だ。
また、沖縄の基地負担の軽減のため、日米地位協定の見直しを訴えているほか、米国に自衛隊の訓練基地を作る案も示すなど、アメリカが猛反発しそうな政策を打ち出している。
11月にもあるとされる総選挙。立憲民主党の看板が野田佳彦代表に変わったなか、自民党は果たして勝てるのか。相変わらず分裂している野党勢力に仮に勝ったとしても、その後の政権運営は以上の3点を巡り、机上の空論ではなく実行力が問われる。新政権、多難な船出となることは間違いない。
写真)石破茂自民党新総裁 2024年9月27日 東京都千代田区
出典)Kim Kyung-Hoon - Pool/Getty Images
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