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米側が苦笑した石破新首相のアジア版NATO案

Japan In-depth / 2024年10月6日 0時25分

米側が苦笑した石破新首相のアジア版NATO案


古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」


【まとめ】


・石破首相が提案した「アジア版NATO」構想は、国際社会から厳しい評価を受けている。


・同構想の内実は、いずれも日本の安保政策の根本的な改変を要する。


・既にインドと中国は反対を表明しており、実現は非現実的だ。


 


 石破茂氏がついに日本国の首相となった。「ついに」と強調するのは、石破氏がこれまで4回も自民党総裁選に名乗りをあげ、そのたびに失敗してきたからだ。石破氏は自民党の総裁を経て、新首相になる過程では新政策とも解釈できる多くを語った。そのなかで日本の対外政策として注視されたのは「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想だった。この構想が日本の安全保障の最大パートナーのアメリカではどう受け止められたか。本稿ではそこに焦点を合わせて報告したい。


 まず結論を先に述べよう。この石破構想は米側ではあまりに非現実的だとして、一笑にふされた。その内容の愚かさには嘲笑といえる反応も多かった。そもそもこの石破構想は米側の入り口で真剣には受け入れられなかった。だから一般向けに幅広く報道されてもいない。この構想を知って反応したのは、日ごろ日米安全保障関係にかかわっている少数の専門家だけである。


 石破氏は自民党総裁選でも「アジア版NATO」の創設を唱えた。アジアで紛争が起きやすいのはヨーロッパのようにNATOのような集団防衛態勢がないからだ、として「日米同盟や米韓同盟、米比同盟などの枠組みを有機的に結合することでアジア版のNATO作るべきだ」と主張した。


 ただし、その際にはこの集団防衛態勢に中国を含むこともありうるとして、「中国を入れるか入れないかは決められない」と述べた。


 ここにも石破氏の言葉の虚構がある。なぜなら石破氏がほぼ総裁選と時期を同じくしてアメリカの大手研究機関のハドソン研究所に送った安全保障・外交政策の寄稿では、このアジア版NATOは中国をその脅威の対象とすると明記していたのだ。その逆に中国をも含む集団防衛態勢となれば、日本の安全保障政策の根幹が崩れる。中国は日本に対する明確な軍事脅威なのに、その相手と手を結び、同じ立場の同盟関係を結ぶことになるからだ。こんなシナリオは中国がかつて主張していた「東アジア共同体」構想に等しい。中国を中心とする国家群に日本も隷属する形で加わることになるからだ。


 さて、石破氏のアメリカ側に向けての政策報告は「石破茂氏の日本の新安全保障時代・日本の外交政策の将来」と題され、ハドソン研究所から9月28日に発表された。そのなかで石破氏はアジア版NATOについて以下の骨子を述べていた。


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