アメリカ新政権の中国政策はどうなるか その1 トランプ、ハリス両陣営の違いとは
Japan In-depth / 2024年10月18日 23時47分
来年2025年の1月20日には新政権が誕生するわけですが、ハリス政権になった場合とトランプ政権の場合と、当然ながらやはり対中政策は相違があるでしょう。このあたりの見通しはどうですか」
ロバート・サタ―:
「まずハリス陣営の政策ですが、ハリス副大統領を大統領選候補に正式に指名した8月の民主党大会にあわせて採択された民主党の綱領では外交は全体9章の記述のなかで最後の章となっています。現在の民主党はまず内政に全力を投入し、外交はどうしても後回しという傾向の反映でしょう。そのうえにハリス副大統領は外交政策に直接にかかわってきた体験はほとんどありません。
だからハリス陣営の中国への取り組みは独自の充実した内容は期待できない。当面はやはりバイデン政権の対中政策の延長となるでしょう。ハリス政権は冒頭でのハンデはあっても、中国への対処は重視せざるをえません。いまのアメリカ全体に中国の負の影響は巨大であり、それに反発する構えはすでに7年近く前から超党派でできあがっている部分も大きいのです。
トランプ政権時代に形成された対中抑止政策の継続も含めて、バイデン政権になっての米側のインフラの整備と強化、半導体技術など科学技術の発展、とくにバイデン・ハリス政権による総額2兆ドルにも及ぶアメリカ国内のインフラ構築の法案の実現などが柱です。まずアメリカ側の総合国力を強化することが中国への有効な対処だというわけです」
古森:
「結局はハリス新政権の対中政策はバイデン政権の政策の延長になるという予測ですね。これはきわめて合理的な予測だと思います。ハリス氏自身の中国への認識とか政策、戦略というのは白紙です。どこかに彼女自身の思考というのは存在するのかもしれないけれど、表面でみる限り空白、空疎です。
この点はアメリカの政治システムの特異な構造の象徴ですね。外交のまったく未経験な指導者が突如、超大国の元首となり、国際情勢に取り組む、というわけです。もっともトランプ前大統領も2017年1月の就任時には同様だった。外交経験はなかったわけです。しかしまたたくまに有力なアドバイザーたちを得て、中国に対する強固な政策を打ち出していった。それまでの長年の対中関与政策は失敗だったと宣言した。
ハリス氏も同様の道をたどる、ということでしょうか。中国政策に関してもバイデン政権のスタッフはすでに健在なわけです」
(その2につづく)
*この記事は月刊誌HANADA2024年11月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:ホワイトハウスで行われたイベントで発言する民主党大統領候補カマラ・ハリス副大統領(ワシントンDC 2024年9月26日)出典:Photo by Win McNamee/Getty Images
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