ロシア派兵の賭けに出た金正恩
Japan In-depth / 2024年10月27日 1時0分
慎重に調査を進めていた米国も23日になって北朝鮮兵の派兵を認めた。オースティン国防長官は23日、「我々は、北朝鮮が派遣した兵士がロシアにいる証拠を確認している」と述べた。米国政府の高官が北朝鮮の兵士がロシアに派遣されていることを認めたのは初めてだ。オースティン長官は、「彼らがいったい何をしているのかはまだ分からない。解明しなければならないことがある」 と話した(TBS NEWS)。
■ 朝ロは事実上血盟関係に、金与正は派兵への言及避ける
北朝鮮が、砲弾と弾道ミサイルを支援する水準にとどまらず、大規模兵力をロシア前線に送ったのは国際法を真っ向から破る違法参戦行為だ。この国際法に反した挑発は、金正恩とプーチンが6月に平壌で結んだ「朝露包括的戦略的パートナーシップ条約」による具体的行動として注目される。
今回北朝鮮は、朝ロ条約第4条に基づくロシアの求めに応じて「軍事同盟」レベルで行動し始めた。韓国大統領室の関係者は「北の派兵で朝ロは事実上血盟関係を結んだということ」とし「6月とは状況が大きく変わった」と説明した。
この行動は、北朝鮮が国際法上の戦犯の隊列に合流したものと言える。昨年2月に国連総会は、ロシアのウクライナ侵攻1周年に合わせて、圧倒的多数の加盟国の賛成でロシアの無条件即時軍撤収を決議した。また国際刑事裁判所(ICC)は同年3月に戦争犯罪容疑でプーチン大統領に対する逮捕状を発行している。
ロシアに対する武器支援報道にはすぐさま「ねつ造」と主張していた北朝鮮だが、21日に国連本部で開かれた国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障)で、ウクライナ政府代表の発言に対する答弁権を行使し、「わが代表部は主権国家間の合法的かつ友好的な協力関係を損ない、わが国のイメージを汚そうとする根拠のない見え透いたうわさについて言及する必要性を感じない」と述べた。
ロシアへの派兵を否定した形だが、しかし22日に発表した金与正談話では、韓国とウクライナを口汚く非難したものの、「ロシア派兵説」に対する言及を避けた。
■ 金正恩の狙いは体制危機からの突破
北朝鮮側の狙いについて、韓国の軍事関係者は「体制の危機からの突破口を求めて金正恩政権が、使える最後のカードを使った」と指摘している。北朝鮮は、ウクライナのロシア侵略軍との戦いを「米国を始めとした帝国主義との戦い」と位置づけており、この戦いを国内結束に利用しようとしている。また、派兵の報酬や見返り支援で軍事・経済力を強化してロシアと共同して韓国を脅迫しようとしている。
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