中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その2 中国はとぐろを巻く大蛇
Japan In-depth / 2024年10月28日 11時0分
古森「そんな状態は日本側が受け身一方だからでしょうね。日本政府は尖閣諸島を無人のままにして、日本国民が上陸することも禁じている。最近はメキシコ国籍の人間が謎の上陸をしましたが、中国側が日本の反応をみるために仕組んだのだという推測もあります。やはり自民党が2012年の綱領で述べたように、公務員の尖閣常駐を実現しないと日本の実効支配さえも疑問となります」
ヨシハラ「日本政府の公務員の尖閣駐在というのは以前からの案ですね。ただし中国側は必ず反発します。日本側の挑発だとして、これまでよりも強硬な措置をとってくる。その措置に耐え、跳ね返す政治意思がなければ、日本側はその案は実行しない方がよいでしょう。中国側にエスカレーションに口実を与えるからです。ただ日本側がその反発を覚悟の上であれば、有効な措置となるでしょう。
もし日本側が10年前に公務員の駐在という措置をとっていれば、その当時の中国側の反発はいま予測されるよりもずっと軽微だった。つまり、時間は中国側に有利に経過しているのです。だから、このままの現状維持だと日本側の立場はさらに弱くなります。もはや日本側は思い切って、公務員の駐在に踏み切るべき時機がきたのかもしれません」
古森「その点についての政策論議がいまの日本にないことが心配です」
(その3につづく。その1)
*この記事は雑誌「月刊 正論」2024年11月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:東シナ海に浮かぶ中国の人工島(2022年10月25日)出典:Photo by Ezra Acayan/Getty Images
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