あえて言う!「頑張れ石破首相」 政治の季節の隙間風 その4
Japan In-depth / 2024年10月31日 11時0分
これなど私自身も本連載はじめ色々なところで訴えてきたことで、簡単におさらいをしておくと、いわゆるアベノミクスとは、単なる円安誘導政策であって、その結果、輸出企業をはじめとする大企業に利益が集中した。2020年の段階で、これら大企業の内部留保は総額500兆円以上にもなっている。仮にその10%を税金として国庫に納めることができれば、国家予算の半分ほどをまかなうことができ、消費税は引き下げどころかひとまず凍結しても大丈夫なのだ。「地方創生・格差是正」を訴え続けてきた石破首相が、これまで大企業や富裕層から税金をしっかり取り立てなかった結果、消費税の税率を繰り返し引き上げざるを得なかったのだということに気づかないまま首相の座に就いた、ということは、まさかあるまい。
もうひとつ、沖縄の基地問題などにからんで、
「日米地位協定の見直しは、必ず実現する」
と発言したことも、まさかお忘れではあるまい。具体的にどこまで見直すのか、いまひとつはっきりしていないが、日本人が被害者となった場合でも容疑者が米兵であれば日本に裁判権はない、などという「不平等条約状態」が是正されたなら、沖縄のみならず全ての日本人にとって福音だ。米軍基地、というより日本が未だ占領状態から完全に抜け出せていない問題には口をつぐんだまま、英霊に報いるのだとして靖国神社公式参拝をぶち上げるような、どこぞの「新総裁候補」など顔色なしだろう。
地方創生や、自然災害に備える諸政策も、言うまでもなく喫緊の課題である。
石破首相は、軍事ヲタクとしてよく知られた人だ。ウクライナとの戦争で消耗しきっているロシアや、国内問題がなかなか大変な中国の脅威は相対的に低下しており、こちらもなかなか厳しい国家予算の中で、軍備と災害対策、どちらにウェイトを置いた支出をすべきか、判断がつかないなどということは、まさかあるまい。
どこの世界に「アジア版NATO」などという了見の分からないことを口走る軍事通がいるのか……などと言ってはいけない。石破氏はあくまでヲタクであって、軍事の本質的な問題にまで理解が及んでいるわけではない。このことは、拙著『反戦軍事学』(朝日新書・電子版も配信中)をご一読いただければ、おわかりいただけよう。さらに言えば、中国海軍と南海トラフ地震と、どちらが日本列島に対する大きな脅威であるかなど、軍事知識がなくとも容易に分かることではないか。
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