総選挙、だれが笑って、誰が泣いたか 損得番付:得るは失うのもと、失うは得るのもと
Japan In-depth / 2024年11月2日 19時30分
野党で大きく後退したのが馬場伸幸率いる日本維新の会だ。所属議員の不祥事続出、政治資金規正法改正案に賛成したり反対したりと節操のなさもあって、敗北は予想されていた。ともに戦った仲間だけでなく、党の創設者、橋下元大阪府知事・市長から退陣要求を突き付けられ窮地に追い込まれた。すべて人望がないためとの見方もある
■ 新鮮さ出せなかった石井
公明党の石井啓一は9月に就任したばかりで落選の憂き目を見た。
15年間にわたってトップを務めた山口那津男の後任。国交相として入 閣、党幹事長として山口体制を支えてきた。それだけに、「党の顔」として新鮮さにかけた。
投開票日のテレビ番組で、不振の原因について、裏金問題など自民党のスキャンダルを批判したが、なじるべきは長期にわたって君臨した前任者だろう。
■ 惨敗の〝戦犯〟、森山
自民党幹事長の森山裕は、政治経験の豊富さ、野党との幅広い人脈などを買われて石破政権で幹事長に就任した。慎重な石破に早期解散を決断させたのも、2000万円供与を決めたのも森山といわれる。惨敗の〝戦犯〟と批判する声もある。腹を切るのが当然だろう。
■ 自民の闇を暴いた共産は議席減、田村は自賛
闇に葬られるかもしれなかった自民党の裏金問題、2000万円問題を報じたのは共産党の機関紙「しんぶん赤旗」だった。委員長の田村智子も、選挙期間中、その実績を前面に押し出し戦ったが、ふたを開けてみると2議席減。当選直後「自民を追い詰めることに貢献した」と自賛したが不本意、残念な結果だろう。
■ 〝泥船〟から逃げ出した?進次郎
自民党のプリンス、小泉進次郎は、総裁選前、石破と国民の人気を2分したが、まずい発言などが響き、たちまち失速した。石破政権で党選挙対策委員長に就き、選挙の指揮を執ったが、惨敗が明らかになるとさっさと辞任した。
「すべて選対委員長の責任」という理由だが、最終的な責任は幹事長であり、総裁にある。若いうちから大物ぶったり、泥船から逃げ出すような要領のよさを身につけないほうがいいという厳しい評価もある
■ 高市、応援議員は振るわず
元経済安保担当相の高市早苗は、総裁選決選投票で石破に惜敗したが、選挙中多くの候補の応援に全国を駆け回った。支援候補の当選率は6割にととまったといい、予想されたほどには届かなかった。保守色の強さなど高市アレルギーは少なくないとの見方もある。初の女性宰相への道のりは、なお簡単ではないが、年齢も63歳とまだまた若く、いずれチャンスは巡ってくるだろう。
■ 2度続けて小選挙区で敗れた甘利
甘利明は岸田前政権発足とともに、自民党幹事長に就いた。直後の前回総選挙では小選挙区で落選、比例復活でかろうじて議席にとどまった経緯から辞任した。今回は小選挙区で再び敗れ、比例重複もなかったことから涙を飲んだ。再起を期しても現在75歳という年齢から陽の当たる道にもどることができるか、微妙だ。
■ 牧原、旧統一教会問題が響く
衆参問わず、過去の国政選挙では閣僚の落選は決して少なくない。今回は牧原秀樹法相、小里泰弘農相だ。牧原は選挙直前に旧統一教会との関係が響いたことは否定できないだろう。
(敬称略)
トップ写真:衆院選翌日、自由民主党石破茂総裁の記者会見(東京・千代田区自民党)出典:Kim Kyung-Hoon - Pool/Getty Images
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