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日産、プライドを捨てる時 ホンダとの統合で生き残れるか?

Japan In-depth / 2024年12月18日 17時19分

日産、プライドを捨てる時 ホンダとの統合で生き残れるか?


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)


編集長が聞く!」


【まとめ】


・日産とホンダは統合協議を急ぐも、時期を逃し、苦境に立たされている。


・日産のマーケティングの失敗とホンダのGM提携の失敗で、統合は避けられない状況。


・早急に競争力のあるモデルを市場に投入し、三菱の技術も活かして商品開発を加速させる必要がある。





やっぱりか、という印象しかない。今年3月の「日産・ホンダ、EVで協業すべき理由」と題した記事で触れたが、両社は今年春にはすでにEVで協業検討、と報じられ、その後8月には車載ソフトウェアの協業を発表していた。


 


鴻海の影がちらついたことが、両社の統合協議を急がせた、との報道もあるが、なんにせよ、遅すぎた。


 


日産はマーケティングの失敗で青息吐息であり、ホンダもGMとのEV提携がとん挫し、決して順風満帆ではない。弱者連合とまでは言わないが、追いつめられての統合との印象は免れ得ない。


 


筆者の古巣である日産に至っては、11月に9000人リストラを含む経営再建策を発表するなど、かなり厳しい状況だ。


 


一方で、日産は十分な流動性を有しているから、危機だと騒ぎすぎだ、との見方もあるが、苦境にあることは間違いない。自動車産業は設備投資や開発に巨額の資金がいる。ひとたび歯車が逆回転すると、あっという間に債務超過になってしまうのだ。わたしがいた当時の日産がまさにそういう状況だった。有利子負債は2兆円近くに膨れ上がり、まさしく統合相手を東奔西走して探し回っていた。(結局だれも手を差し伸べてくれず、最後にルノーが手を挙げた)


 


話を現在に戻すと、日産とホンダは統合メリットを出すために、急ピッチで、いや、爆速で競争力のあるモデルを市場に投入しなければならない。


 


日産にはHVがない。e-powerはあるが、高速で燃費が悪く、北米で受け入れられるかどうか、微妙だ。ホンダは、独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を持つ。18日にはそれに一層磨きをかけ、10%以上の燃費改善を実現した次世代技術だという。そして三菱にはPHEVのアウトランダーがある。日産はためらわずホンダや三菱のHV技術を搭載したモデルを開発すべきだ。



写真)2015年2月10日、東京の本田技研工業本社前に展示されたホンダの歴代F1マシン。 


出典)Photo by Chris McGrath/Getty Images for Honda Motor Co.


 


車の開発には時間がかかる。統合したからと言って、すぐに部品を共通化できるわけではないが、1990年代初頭、日産がつまづいたのは車種統合に動かなかったからだ。この際、日産はつまらないプライドなど捨て、三菱自工も入れた形で、3社の経営資源を最大限活かした商品開発を加速させねばならない。日産に残された時間はそう多くはない。


 


トップ写真)日産自動車本社のオフィスビルトップ


出典)Getty images/ joel-t


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