トランプ氏はなぜ勝ったのか ドーク教授の分析 その10 アメリカの左翼と日本の保守
Japan In-depth / 2024年12月19日 9時17分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日米関係は共産主義に対する反対の上に築かれていた。
・しかし現在米国の共産主義と戦う意欲は減り、キリスト教と戦う意欲が高まっている。この動きは中国と共通する。
・日本がこのジレンマを回避するには、米国を追従するのをやめ『戦後体制からの脱却』を加速させるべき。
古森義久「これまでアメリカの社会や政治の大きな潮流の変化、さらにはヨーロッパでの似たような流れについて、きわめてわかりやすく、同時に重要な考察をうかがってきました。そこでどうしてもさらに考えてしまうのは日本への影響です。アメリカという超大国は日本の安全保障面での支えである同盟国です。その同盟国の内部での思考や倫理の変化はその対外政策にも波及して、その結果が日米関係に反映され、日本側での変化にもつながりかねない、とも思います」
ケビン・ドーク「アメリカでの文化の左傾化は日米関係にとっても深刻な課題です。 もちろん戦後の成功した日米関係は共産主義に対する共通の反対の上に築かれました。同時にそれはアメリカの強いキリスト教文化に基づく立場と、日本側の中国の共産主義に対する激しい闘争の近代史に基づく立場の上にも築かれてきました。しかし、今日のアメリカでは冷戦が終結したので(世界の他の場所では終わらなかったとしても)、共産主義と戦う意欲が減ってしまい、キリスト教と戦う意欲がはるかに強くなっています。
キリスト教に対する闘いはアメリカの左翼が進め、しかも中国と共有している動きでもあるのです。中国はキリスト教との闘いを地政学的な見地から進めていますが、アメリカの左翼は個人的な、自叙伝への態度のように、進めています。しかも両者とも今日の世界での最大の脅威は共産主義ではなく、キリスト教だとみなしているのです。それでは日本国民はどうなるのでしょうか。
日本人はアメリカ人よりも価値観が保守的であることは広く知られています。キリスト教徒の日本人は少ないですが、ほとんどの日本人はキリスト教に対してかなりの敬意を抱いています。(ヴォルテールの言葉を借りれば、『私はあなたの宗教には同意しないが、それを信仰する権利は守ります』ということでしょう)。
では、キリスト教を尊重する保守的な日本と、キリスト教を敵視する左翼のアメリカとの間の価値観のギャップが広がるのか。あるいは日本人がアメリカ人に追随して左翼側に入れば、日本は中国という共産主義帝国に吸収されることによってその生存を脅かされることになるのか。この中国というのは東アジアでの重大な脅威なのです」
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