トランプ再登場に身構えるキューバ、ブラジル、ベネズエラ 【2025年を占う!】中南米
Japan In-depth / 2024年12月26日 21時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・トランプ前大統領の政権復帰はアメリカとキューバの関係悪化に繋がるだろう。
・また、ベネズエラでは次期大統領就任をめぐり緊張が高まっている。
・ブラジルはトランプ氏が政権を握ることで、中国との関係強化を模索している。
トランプ前米大統領の政権復帰は中南米にどんな影響を及ぼすのか。2025年の中南米各国の動きを対米関係を中心に予想してみた。
◇ 米・キューバ関係は逆戻りも
1月20日に発足する第2次トランプ政権がキューバに厳しい対応を取り、対立が高まる可能性がある。国務長官に起用される予定のルビオ上院議員は両親がキューバの共産主義体制から米国に逃れた亡命者であり、自身も対キューバ強硬派であることはよく知られている。ルビオ氏はかつてオバマ元大統領によるキューバとの国交回復にも強硬に反対を表明、今も対キューバ禁輸の緩和は許さないという立場だ。中南米研究者の間では、第2次トランプ政権下で米国の対キューバ関係が2015年の国交正常化以前のような状態に逆戻りするシナリオも取りざたされている。キューバのメディアは、ディアスカネル政権がトランプ再登板に全面対決する準備を整えているなどと伝えている。そのキューバを支持するメキシコは移民問題をめぐり米国との関係が緊張しそうだ。10月にトランプ氏とメキシコのシェインバウム大統領との会談が行われたが、米国への移民流入阻止に関して両者の見解の相違が露呈するなど、解決への道が開かれるかは不透明。不法移民流入などへの対抗措置としてメキシコに25%の関税を課すと表明しているトランプ氏が強引に出ればメキシコが反発するのは必至で関係悪化は避けられまい。
◇ マドゥロ大統領、3期目就任強行か
当面の焦点はベネズエラの動向だ。ベネズエラでは1月10日、去る7月の大統領選で勝利したと主張するマドゥロ大統領が3期目の就任式を強行する方針である。一方、大統領選での野党統一候補でマドゥロ政権の不正操作を非難し、自分たちが勝利したと訴えるゴンサレス氏は亡命先のスペインから帰国する構えを見せている。当局の弾圧を逃れ国内に潜伏しているもう一人の野党指導者マチャド氏はマドゥロ大統領の3期目就任を阻止し、「ゴンサレス大統領」を誕生させるべく国民の結集を呼び掛けている。ゴンサレス氏が帰国すればマドゥロ政権によって直ちに拘束される公算が大きく、ベネズエラ国内では緊張が高まる。先の大統領選をめぐり「マドゥロ当選」を認めているのはキューバとニカラグアなどの反米左派政権とロシアおよび中国だ。米国やアルゼンチン、ペルー、チリ、ウルグアイなどの南米諸国は選挙の透明性に疑義を呈し、次期大統領に選出されたのはゴンサレス氏との認識を示している。こうした中、注目されるのは対ベネズエラ強硬派でもあるルビオ‶次期国務長官‶の出方。マドゥロ政権の退陣を目論み、制裁を一段と強化するかもしれない。
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