参院選前に「石破おろし」始まる恐れ【2025年を占う!】内政
Japan In-depth / 2025年1月1日 11時0分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・石破首相は2024年暮れ、予算が成立しなかった場合の衆院解散・参院との同日選の可能性に言及。
・野党へのけん制だが、「伝家の宝刀」は口にすれば神通力を失う。
・都議選と参院選が同じ年に行われたケースでは過去、与党が苦杯をなめたことが少なくない。
■ 野党けん制もすぐに軌道修正
昨年秋に就任した石破首相は、どんな新年を迎えただろうか。
元日には能登半島地震・豪雨の犠牲者追悼式に出席するが、何よりも政局の展開が気がかりだろう。
首相は12月27日、都内で行った講演で、予算案や重要法案が否決された場合、「国民の信を問うことは当然、ありうるべきだ」と述べ、解散・総選挙断行の可能性に言及した。
翌28日には、民放のテレビ番組で、「(衆参の選挙を)同時にやってはいけない決まりはない」とも述べ、ダブル選挙にむ踏み込んだ。29日には一転、別の番組で「(解散を)やりますと、いったわけではない」と軌道修正した。
一連の発言からは、1月24日召集が予定されている通常国会での2025年度当初予算審議を見据えて野党をけん制したものの、波紋を呼んだことであわてて沈静化を図った右往左往ぶりが伝わってくる。
解散権は内閣総理大臣にだけ与えられた〝伝家の宝刀〟だ。
本来、しかるべき時に、瞬時に抜くものであって、事前に予告すべきものではない。いったん、解散に言及してしまえば、野党は反発、警戒させ、選挙準備を急がせることになる。与党内も浮足立つ。
ロッキード事件の解明に心血を注いだ三木武夫首相(在任、1974年―1976年)のように、反主流派の反発で解散権を封じられ、任期満了選挙を強いられて敗北、退陣した例もある。首相自身がいくら軌道修正を図っても、綸言汗のごとし、時すでに遅いというべきだろう。
■ 最初のハードルは当初予算の成立
総額115兆円にのぼる2025年度当初予算の成立は、石破首相にとって、何としても越えなければならないハードルだ。24年暮れの臨時国会では、何とか補正予算の成立にこぎつけたが、当初予算の審議に甘い見通しは禁物だ。
〝部分連合〟の相手、国民民主党は補正予算には賛成した。しかし、年収の「103万円の」をめぐって123万円まで引き上げた与党と178万円を主張する国民民主の隔たりはなお大きく、このままでは同党も当初予算案に反対の構えだ。
■ 過去、首相が退陣して予算成立させたことも
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