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リベラル左派の将来は暗い?!

Japan In-depth / 2025年1月27日 22時33分

▲写真 新著『革命の時代:1600年から現在までの進歩と反発』のブックトークをするファリード・ザカリア氏(4月3日ニューヨーク)出典:Shahar Azran/Getty Images





ザカリア氏の評論はリベラリズムを主唱し、保守主義を批判する基本姿勢は明白だが、鋭く豊かな発想や表現で幅広い評価を得てきた。トランプ氏はその陣営の保守主義政策にも長年の手厳しい批判を浴びせてきた。しかしそのザカリア氏も最近ではアメリカ国民の多数派の保守志向を意識したのか、嫌悪の感情だけでトランプ氏を叩く風潮の「反トランプ錯乱症候群」(Trump Derangement Syndrome:TDS)の欠陥をも認めようになっていた。





ザカリア氏は今回の評論ではアメリカ国民の多くが「進歩的とされる政治家たちに重税や過剰な規制を課され、脅かされる」ことへの不満を高めたと述べ、その結果がトランプ氏の圧勝をもたらした、と論じていた。その変化の具体例としてザカリア氏は民主党統治のニューヨーク州と共和党統治のフロリダ州の政治状況や住民の態度を比較していた。その比較では、両州の住民への税負担、治安、インフラ、教育、不法入国者の扱いなどでフロリダ州がニューヨーク州よりもはるかに円滑かつ効率的だと強調していた。つまりこの両州でみるかぎり、保守主義の統治がリベラリズムの統治よりも当の住民たちに満足をより多く与えている、という指摘だった。





同様の指摘はウォールストリート・ジャーナルの2024年12月末の「グローバル政治での進歩派の時は終わった」という見出しの長文記事でも明示された。同紙の数人の記者と論者によるこの報道は地球温暖化防止優先、移民寛容策、社会福祉重視の「大きな政府」、人種や性別による出自政治などを特徴とするリベラル政治はアメリカだけでなくヨーロッパ諸国やカナダでも多数派の信を失ってきたことを詳しく伝えていた。





同報道は米欧いずれでもポピュリズムの政治主導が効果をあげてきたことも強調していた。ただしこの場合のポピュリズムとは日本の主要メディアの多くがよく使うトランプ氏批判をにじませた「大衆迎合主義」という解釈ではない。既成の政治勢力やエリート層へのアピールを主とせずに一般国民に直接に訴える本来の「大衆直訴主義」であることを力説していた。





この点では日本の主要メディアではトランプ氏を叩くという前提の論者がポピュリズムという言葉をきわめて偏った「大衆迎合主義」というネガティブな訳を適用することが定番となってきた。だがトランプ氏の手法を「迎合」と断定はできないし、ポピュリズムという言葉には「迎合」を含まない、ごく民主主義的な大衆への直接直截なアプローチをも意味するである。





同報道はカナダではトルドー首相よりトランプ氏の人気が高いことを示す世論調査をも紹介していた。





一方、ザカリア氏は今回の大統領選で全米3千ほどの郡の9割近くで共和党への投票が前回、前々回より増えたことをあげ、民主党の奮起をも訴えた。「文化的エリートを守り、覚醒(ウォーク)思想を保ち、膨張した政府を続ける限り、永遠の野党になる」という声援であり、警告だった。





トップ写真:勝利集会で演説をするトランプ氏(1月19日ワシントンDC)出典:Scott Olson/Getty Images




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