【エンタがビタミン♪】YOSHIKI クラシックコンサートレポ「僕の人生には悲しみが多すぎた」
TechinsightJapan / 2016年12月10日 21時51分
その後、時に静かに時に激しくYOSHIKIによって奏でられた『La Venus』は、冒頭スクリーンで流されたYOSHIKIの過去の映像を鮮明に聴く者の脳裏に再現させた。
YOSHIKI自身が「今日はテーマ曲ばっかりになってしまって」と言うように、1999年天皇陛下御即位10年奉祝曲『Anniversary』や、2005年日本国際博覧会「愛・地球博」公式イメージソング『I’ll Be Your Love』、2012年および2013年ゴールデングローブ賞テーマ曲『Golden Globe Theme』など、これまで彼が発表してきた壮大なスケールの楽曲たちが奏でられた。さらには「僕の書いた楽曲ではないですが」として、YOSHIKI自身が幼いころから強く影響を受けたというチャイコフスキーの『白鳥の湖』も演奏された。
しかし、この日のコンサートで最も印象深かったのは、今は亡きHIDEに贈った『Without you』であった。『Without you』の演奏に入る前、当時の思いをYOSHIKIが静かに語りだした。
YOSHIKIが楽曲を制作するとき、一切の楽器を使わずにドラムを含めた全てのパートを直接譜面に書き込むというのは有名な話である。
「『Without you』を書き上げてしばらくして、いざ実際にピアノに向かって演奏をしようとすると、溢れ出る涙で指が鍵盤の上を滑ってしまい演奏することが出来なかったのです。」
そう明かした後、『Without you』を奏で始めたYOSHIKI。その横顔がステージ後方の巨大スクリーンに映し出された。涙は見えない。が、その表情からYOSHIKIの心のなかの慟哭は、その場にいたすべての人の耳に届いていた。
そしてクライマックスとなった『Endless Rain』。
「歌っていいよ! ただし最後の部分だけだよ!」
そう笑顔で客席に声をかけ、観客が一体となった名曲『Endless Rain』の大合唱。通常このようなシーンはクラシックコンサートでは到底見ることができない。ファンが合わせ歌う声は一部のずれもなく美しく共鳴した。YOSHIKIと彼を心から愛するファンだからこそ実現した美しいシーンであった。
カーテンコールになると客席からファンが一気にステージに駆け寄った。
「いつもはドラムだから、僕はステージの後ろの方にいて、みんなとこんなに近くで接することは珍しいから本当に嬉しい」
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