【海外発!Breaking News】性同一性障害の診断、ホルモン投与に焦りは禁物 14歳少年の例から学ぶべきこと(豪)
TechinsightJapan / 2017年9月27日 16時35分
オーストラリア・Nine Networkの人気報道番組『60 Minutes Australia』。そこに登場した現在14歳の少年の話題がじわじわと拡散している。女装に強い興味を示した幼少期を経て、自分の外見との違和感に苦しむようになったその少年は性同一性障害との診断から専門医のもとで2年前から女性ホルモンを投与されるようになっていた。しかし…。
性同一性障害の診断はあまり早期に下されるべきではない、自分のような例もあるということを知って欲しいと語るのはパトリック・ミッチェル君。幼い頃から女の子らしい遊びや女装への興味、優しいしぐさなど性同一性障害の傾向を匂わせていたというパトリック君は、7歳の時に母アリソンさんから「世の中にはあなたと同じように、本人が感じる性別と身体的な性別が一致しないことで苦しんでいる人々がたくさんいるの」としてトランスジェンダーや性転換手術の存在を教わると「女の子になりたい」という気持ちをますます募らせた。
思春期には独特の現象に悩み、女の子のような柔らかい雰囲気ゆえ学校ではイジメにも苦しんだ。朝起きて鏡に映った自分の身体を見ることが嫌で嫌で仕方なかったパトリック君は12歳の時、母親と共に専門医のもとへ。診断名は予想通り「性同一性障害」というもので、パトリック君は女性ホルモンであるエストロゲンの服用を開始した。これにより徐々に乳腺が発達し、ふっくらとした乳房を手に入れたパトリック君。頭髪も伸ばしてみた。だが服用開始から2年が過ぎた頃、教師に「女の子」と呼んでもらえたことをきっかけにパトリック君の心には予期せぬ変化が現れたのだ。
実際に女の子の姿を手に入れ周囲からも女の子と呼ばれるようになり、そこで大きく満足したというパトリック君。その後は以前ほど女の子になることに固執しなくなった。自分はこの先もっと肉体の女性化を進める必要があるのだろうか、そう自問を繰り返したパトリック君は「外見を元の姿に戻す」という意外な結論を出し、すぐにエストロゲンの服用を中止した。彼は最近アリソンさんと共にイギリスに移住したが、膨らんでしまった乳房の切除手術も予定しているという。
同番組に出演した小児科医のジョン・ホワイトホール医師は、オーストラリアでは性同一性障害と診断される症例数が10代で激増しているが、よく調べるとその多くが性転換手術が必要な状況とは言えず、未完成な体へのエストロゲン投与には重大な問題があると主張している。一方アメリカでは幼児がリアリティ番組あるいはドキュメンタリー番組に出演して性同一性障害をカミングアウトするに至っている。同様に診断、治療開始の低年齢化も進んでいるようだ。
とはいえ「あの頃、うつ病のように笑顔を失ってしまったパトリックを見るのはとても辛かったのです」とアリソンさんは語っている。息子を心配するあまりどんどん先へと進んでしまった彼女ばかりを責めるのは酷である。家族に絶縁を言い渡され、孤独ゆえに心の健康バランスを欠いてしまう性同一性障害の人々は非常に多く、きちんとわが子の苦悩に向き合ってくれるアリソンさんのような母親がそばにいてくれるのはやはり心強い。診断は慎重に、そしてホルモン治療などは焦らずゆっくりと、という心がけが医師の側にこそ必要であろう。
画像は『New York Post 2017年9月8日付「Boy began transitioning into being a girl, then changed his mind」(News.com.au)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)
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