【海外発!Breaking News】世界最悪の大気汚染インド・デリー 望みを託した散水ヘリも視界不良で飛べず
TechinsightJapan / 2017年11月16日 14時9分
世界で最もPM2.5の濃度が高い大気汚染が深刻な都市とは…!? ワースト20のうち半分をインドの市町村が占めることに大きな注目が集まっているが、なんと頼みの綱として登場した散水ヘリコプターですら視界不良につき飛べないことが分かった。『The Guardian』ほか欧米のメディアが続々と伝えている。
世界保健機関(WHO)が毎年示す、大気汚染が最も深刻な世界の都市たち。PM2.5汚染濃度のワースト5について、近年の常連はアフガニスタンにも近いイランのザーボル、印マディヤ・プラデーシュ州グワーリヤルと同ウッタル・プラデーシュ州イラーハーバードなどである。そしてアジアの大都市に絞った場合のワースト順位は、圧倒的な深刻さで1位がインド・デリー、2位がバングラデシュ・ダッカ、3位がパキスタン・カラチとなっており、中国・北京市は4位である。
とにかく目や喉に痛みが走り、マスクなしでは街を歩けない、換気も怖くてできないと訴えるインド・デリーの人々。ナレンドラ・モディ政権は環境問題にあまり関心がないと批判されていたなか、やっと重い腰をあげたデリー市の当局は国有ヘリコプター会社「Pawan Hans」と手を組み、大気汚染対策として水を上空から散布することを決定した。しかしその作業は14日にストップ。同社のBPシャルマ会長は『The Indian Express』紙に、スモッグがあまりにも厚く濃いことからヘリコプターのパイロットが「視界不良につき飛行不可能」と判断したと説明している。
デリーではここ2年間に肺ガンを発症した患者のうち半数が非喫煙者で、40代や女性の患者も増えているといい、医師らは公衆衛生上の観点から「緊急事態宣言」を訴えている。スモッグがこれほど濃く深刻になるまで対策を怠っていた行政側の責任は非常に重いが、皮肉なことに議会をはじめ政府機関、大統領官邸、首相官邸などが集まるニューデリーには警備上の理由から上空を飛行物が飛ぶことが厳しく禁じられている地区がいくつもあるもよう。雨に期待するしかないそうだ。
PM2.5の値についてWHOが定める環境基準(1年平均値が1立方メートル当たり10マイクログラム以下、かつ1日平均値が同25マイクログラム以下)と比較すると、1日平均値がその30倍を超えてしまうこともあるという今のデリー市。また2015年の調査で分かったのは、その大気中に含まれる微小粒子状物質の約半分は道路交通由来のものであるということ。排気ガスはもちろんだが、日々何万台という自動車の往来により道路の粉塵、そして舗装されていない道路の砂、土が舞い上げられることが原因だそうだ。
またヒンズー教徒、仏教徒、ジャイナ教徒の聖地として知られるウッタル・プラデーシュ州のバラナシ(Varanasi)こそ、実はもっと深刻な大気汚染に見舞われているとみる専門家は多い。ガンジス川の沐浴や、死者や死期が迫った者を受け入れてはあの世へ送る伝統的な火葬の風景が多数の観光客を集めているバラナシだけに、抜本的な対策を講じることはなかなか難しいもようだ。
画像は『ABC News 2017年11月14日付Twitter「Cyclists in Delhi wear masks for a ride in the city’s thick smog, which officials are calling a public health emergency.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)
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