【海外発!Breaking News】リビアから逃亡 ゴムボートで地中海渡航を試みたシリア人難民が無事救助
TechinsightJapan / 2017年12月12日 15時27分
![【海外発!Breaking News】リビアから逃亡 ゴムボートで地中海渡航を試みたシリア人難民が無事救助](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/japantechinsight/japantechinsight_451384_0-small.jpg)
中東やアフリカ諸国の難民達がヨーロッパを目指すルートは、その時の政治的状況によって変化する。現在はリビアからイタリアへの渡航が多く、ヨーロッパでは難民が地中海を渡ってきたというニュースが頻繁に報道されているが、警備が強化されたため渡航は困難になっているという。だがそれを知らずリビアに集まった難民達が、密航業者によって“奴隷”として人身売買されていることも伝えられたばかりだ。今月1日、ゴムボートに乗り地中海を1人で渡ろうとしていた30歳のシリア人男性が救出されたが、彼の危険極まりないこの行動もまた、リビアの絶望的な状況から逃れるためのものであった。
イタリア紙『La Repubblica』によると、今回の救出劇に関わったスペインのNGO「Proactiva Open Arms」のメンバー、Riccardo Gattiさんは当時の様子を「乗組員の交替のためマルタに向かう途中、メンバーの1人が約3キロ先の水平線上に何か人影のようなものを発見した」と説明している。その後この人影は、ゴムボートに乗った1人の男性であったことが判明、彼は「Proactiva Open Arms」によって無事救助された。
シリア出身のこの男性Sami Naserさん(30)は、スウェーデンに暮らすパレスチナ人の恋人のもとに向かうためダマスカスから逃亡したもののヨーロッパには渡れず、民兵が支配するリビアの病院で3年間、看護師として奴隷のように働かされていた。
リビアには現在、何十万人という亡命希望者や難民がヨーロッパに向かう密航船に乗るまでの間に、難民拘留施設で惨めな暮らしを強いられている。そうした人々とは異なりNaserさんは勤め先の病院で暮らしていたが、そこから離れることはほとんどなかったそうだ。というのも、リビアにおいてシリア人は「他の難民よりも金を持っている」と思われて襲われやすいため、Naserさんにとっては非常に危険な状況であったからだ。『外務省 海外安全ホームページ』によると、現在リビアの危険度は全土において「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)」とあるが、NaserさんがGattiさんに「今のリビアでは、街中で『一杯水をもらえませんか?』と尋ねただけで民兵達に殺されてしまう」と話した内容からも、その治安状態が尋常ではないことがうかがえる。
そうしたリビアの状況に絶望したNaserさんは、「ここに奴隷として留まるくらいなら、地中海で溺死する方がいい」としてある行動を決断した。彼はトリポリ在住の知人から全長約3メートルのエンジン付きゴムボートを購入し、デーツ少量、チョコレート1個、水2本、ガソリン2缶、予備のバッテリー、コンパス1個そしてボートのオール2本を積み込むと、民兵の目が届いていないトリポリ近郊の海岸からイタリア領のランペドゥーザ島に向かい、たった1人で地中海を漕ぎ出したのだ。
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