【海外発!Breaking News】妻と子供の命を奪われた男性、加害者と友情を築く(米)
TechinsightJapan / 2018年12月11日 21時32分
2006年に米ジョージア州で起こったその衝突事故は、消防署の救急救命士が妊婦とお腹の子供の命を奪うという悲劇的なものであった。このたび12年の時を経て、加害者と被害者遺族の男性の間に育まれた特別な絆を米メディア『TODAY』が報じている。
2006年10月2日、ジョージア州ダキュラで当時20歳だった消防署の救急医療隊員マット・スワッツェル(32歳)は、24時間勤務のシフトを終えて帰宅途中に衝突事故を起こした。時間にしてわずか3~4秒ほどだったが、居眠りをしセンターラインを越えて他の車に衝突。その車に乗っていたのは、妊娠7か月のジューン・フィッツジェラルドさん(30歳)と長女フェイスちゃん(1歳7か月)だった。この事故で、ジューンさんとお腹の子供の命が奪われた。
ジューンさんの夫で牧師のエリックさんは、最愛の妻と生まれてくるはずだった第2子を失い悲しみに暮れた。マットの裁判が行われるようになった時、検察側はエリックさんに「被告に対して最大の刑期が与えられることを望むか」と尋ねた。しかし、エリックさんはこのように思った。
「それを望んだところで失われた2つの命はもう取り戻せない。牧師の自分は常に人々に『赦すことの大切さ』を説いている。復讐をするか赦すかといわれたら、私にできるのは『赦す』ことだ。これは私に与えられた試練です。」
結果として、エリックさんのおかげでマットは情状酌量が認められ、判決は罰金刑と地域奉仕活動のみに留まった。裁判中にエリックさんはマットと言葉を交わすことは一度もなかったが、事故からちょうど2年経ったある日、2人は偶然にも再会した。
エリックさんのために追悼カードを買おうと店を訪れたマットの姿を、スーパーから出てきたエリックさんが見つけ、停めていたマットの車に向かって歩み寄った。泣き崩れるマットに何も言わずハグしたエリックさんが、やがてマットに伝えたのはこの言葉だった。
「あなたのことを赦します。」
2人の命を奪ったマットにとって、事故の出来事は生涯消されぬ十字架として背負い続けなければならない。その罪とプレッシャーに苛まれ2年を過ごしてきたが、まさか遺族のエリックさんからそのような言葉をかけられるとは思ってもいなかったのだろう。事故当時のことを回顧しながら、マットはこのように話した。
「エリックさんにとってももちろんそうですが、私にとってもあの事故は一生忘れられない出来事になりました。今でも鮮明に事故の衝撃を覚えています。ガラスが割れた音や衝突の臭いなども…。私は、自分がEMT(救命救急士)として、そして消防士として悲劇の状況にいる人々を救う立場にありました。それなのにあのような事故を起こしてしまったのです。今でも自分が奪った2つの命のことを思うと涙せずにはいられません。でも、エリックさんは最初から私を『赦す』と言ってくれたのです。彼のハグが自分にどれほど大きな意味をもたらし、彼の言葉によって自分の人生がどれだけ救われたことか…あれほど安堵感を得たことはありませんでした。」
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