【エンタがビタミン♪】『小説 火の鳥 大地編』第1話を先行無料配信 手塚治虫の構想をもとに桜庭一樹が執筆
TechinsightJapan / 2019年4月4日 15時18分
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『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『ブラック・ジャック』などの名作を世に送り出した漫画家・手塚治虫。1989年に惜しまれつつも60歳で他界した手塚さんが、1954年から晩年までライフワークとして描き続けたのが『火の鳥』だ。彼の死で未完となっていた『火の鳥』だが、その続編とみられる構想原稿をもとに、直木賞作家・桜庭一樹さんが長編小説を執筆する。4月6日から朝日新聞土曜別刷り『be』にて連載が開始されるが、それに先駆け第1話が「朝日新聞デジタル」にて先行無料配信中だ。
「漫画の神様」の異名を持つ手塚治虫さんが長年描き続けた『火の鳥』は、不死鳥である火の鳥を追い求める人々を通し、人間の尊厳や愚かさを描く壮大なストーリー。「人間とは、生命とは何か」を、約65年前から問い続けている物語だ。その続編とみられる『大地編』の構想原稿が、手塚プロダクションの資料室にて発見された。この原稿をもとに小説を執筆することになった作家・桜庭一樹さんは「実物に目を通したとき心が震えました。」と告白する。「わたしは小学校の図書室で『火の鳥』をみつけ、夢中で読みました。この物語に流れている、命への賛歌、平和主義、そして、人間の気高さを信じる手塚先生から伝わる“悲しみを伴った独特のオプティミズム”から多大な影響を受けて大人になりました。」と同作と自身との密接な関わりを明かした。
『小説 火の鳥 大地編』は、4月6日から朝日新聞土曜別刷り『be』にて連載開始、1年間にわたり毎週掲載予定だ。桜庭さんは「まず、手塚先生ならこう描かれたはず、という忠実なアウトラインを引き、その上で、平成のその先へと生きていく自身の感覚と、小説ならではの表現を使って、火の鳥に再び熱い命を吹きこもうとしています。」と構想を語り、「『火の鳥』の名に恥じない大ロマンに。そして、つぎの時代に繋がる新しい物語に。今年、全力で『大地編』を紡ぎたいと思っています。」とやる気満々だ。
また挿絵は、「僕は、手塚治虫になりたかった少年です。」と語るイラストレーター・黒田征太郎さんが手がける。黒田さんは「9歳のとき、戦後の闇市で見た『新宝島』で、疾走する車のタイヤが楕円(だえん)に描かれているのを見て『これだ!』と思った。手塚さんの本を買うために新聞配達をしました。食べるため早く大人にならねばならない時代でしたが、手塚さんは心と頭に深く入り込んでいました。」と幼い頃に衝撃を受けたときのことを振り返り、「昨年手塚さんを追憶する展覧会を開いた後も、手塚さんに質問するような、返答するような気持ちで、気が済まずにアトムの絵を描き続けています。」と長年手塚治虫作品に魅了され続けている。黒田さんは「『火の鳥』には、手塚さんの時空を超えた自己表現がある。これまで、野坂昭如さんや中上健次さんといった作家とつきあってきましたが、桜庭さんは僕からしたら子どものような世代。手塚さんという巨人と、桜庭さんという新兵器に挟まれて、僕がどう反応していけるか、楽しみにしています。」と胸を躍らせる。
朝日新聞デジタルでは特設サイト(https://hinotori.asahi.com/)を開設。第1回目の内容を無料で閲覧できるほか、『be』では漫画『火の鳥』の『黎明編』を無料配信中だ。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)
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