【海外発!Breaking News】何千もの蚊に刺される科学者 デング熱研究のために自ら血を提供(豪)
TechinsightJapan / 2020年10月3日 21時0分
過去50年以上にわたって世界中で広がっているデング熱の感染を食い止めるために、オーストラリアで尽力している科学者がいる。彼は自らの血を餌とし、何千もの蚊に刺され続けているのだ。そして自身のTwitterで過酷な研究経過を報告している。『The US Sun』『ScienceAlert』などが伝えた。
豪ビクトリア州のメルボルン大学で蚊や害虫、益虫などの博士研究員をしているペラン・ストット・ロスさん(Perran Stott-Ross)は、デング熱の流行終息を目的に研究を続けている。
デング熱は蚊を媒体に感染する疾患で、高熱や体の震え、強烈な頭痛や吐き気などの症状が現れる。過去50年以上にわたって感染が続いており、世界保健機関(WHO)によると2019年には420万件の感染が確認されている。
研究には大量の蚊の飼育が必要となり、そのための餌も必要になる。ペランさんは蚊に自らの血を吸わせ、餌として提供しているのだ。
デング熱の感染リスク低下には、人に無害な細菌「ボルバキア」が有効なことが分かっており、このボルバキアに感染した蚊を自然に放つことで、デング熱への感染を予防する対策を行っているそうだ。
しかしボルバキアは蚊の仲間では自然発生しないという問題点があり、ボルバキアを保有した蚊を大量に発生させることはとても難しい。ペランさんはボルバキアの増殖作業について「スライドガラスに蚊の卵を並べ、顕微鏡を使って卵一つ一つに極細の針を刺してボルバキアを保有した細胞を取り出します。そしてボルバキアを保有していない他の卵へ移していくのです。上手くいけばその卵は生き延び、次の世代へもボルバキアの保有が続きます」と話しており、気の遠くなるような作業であることが分かる。この作業を一日で何百という数の卵に行う必要がある。
ペランさんは「この何百、何千という卵を研究室で孵化させて飼育し、自然に放ちます」と説明しており、毎日この作業を続けて安定した数の蚊が生まれるように長期で観測しているという。
自身の腕が大量の蚊で覆われている写真には、刺されて真っ赤に腫れる部位も多数あり、見ているだけでも痒くなる。刺される個所は一日で5千か所に上るそうだ。ペランさんはこの過酷な作業について「一日で16mlの血液を餌として蚊に吸われています。ものすごく痒いですよ。蚊の入っている箱から腕を出した後は掻きむしりたい衝動を抑えて耐えています」と明かしている。
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