中国半導体後工程企業の大規模投資が相次ぐ(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月30日 0時25分
中国で半導体製造の後工程を担う天水華天科技(本拠地:甘粛省天水市)は9月22日、江蘇省南京市で集積回路(IC)のパッケージング・テスト基地建設プロジェクトの第2期の着工式を行った。先端設備を導入し、国際的に先進レベルに達する生産ラインを構築することで、ストレージ、高周波(RF)、コンピューティング、人工知能(AI)などに広く利用されるICを手掛けると計画している。
プロジェクトを運営する華天科技(南京)は、天水華天科技の完全子会社で2018年9月に設立された。第1期および第2期に分けられたプロジェクトの総投資額は180億元(約3,600億円、1元=約20円)に上る。第1期で建設された基地は2020年7月末に稼働し、年間約50億個分のICのパッケージング・テスト能力を有するという。第2期完成後には、プロジェクト全体で約1万5,000人の雇用をもたらし、年間売上高は100億元を超える見通しだ。
また、通富微電子も9月20日、同社の本拠地である江蘇省南通市でICのパッケージング・テスト基地建設プロジェクトの着工式を行った。江蘇省発展改革委員会の発表によると、同プロジェクトの総投資額は120億元で、研究開発および生産棟、オフィスなどの関連施設を建設し、車載用や5G(第5世代移動通信システム)通信、高性能計算向けなどのICの生産ラインを構築する予定だ。完成後のICのパッケージング・テスト能力は年間21億1,200万個分で、年間売上高は57億元以上を見込む。
中国の半導体分野の調査・研究機関である芯思想研究院がまとめた2023年の半導体パッケージング・テスト工程企業の世界売上高ランキングでは、通富微電子が第4位、天水華天科技が第6位になっている。両社が相次いで大規模投資を実施する背景として、中国で急速に進む自動車のスマート化、無人化などに伴う半導体の国内需要の高まりに加え、好調な海外向け輸出もこうした動きを後押ししているとみられる。中国税関総署によると、2024年1~8月の中国のIC輸出額は前年同期比24.8%増の7,360億元と、自動車の輸出額(22.2%増の5,408億元)を上回っている。
(劉元森)
(中国)
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