COP29に向けエネルギー移行に関するハイレベル会合を開催(世界、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、アフリカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月30日 1時10分
国際エネルギー機関(IEA)は、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の議長国アゼルバイジャンと協力し、5月14日から16日にかけてフランスのパリにおいて、気候変動対策のためのエネルギー移行に関するハイレベル会合を開催した。
同会合では、2024年11月にアゼルバイジャンの首都バクーで開催予定のCOP29(2023年12月15日記事参照)に先立ち、2023年にアラブ首長国連邦で開催されたCOP28での合意、特に2030年までに再生可能エネルギー発電を3倍、エネルギー改善効率を2倍にすること、メタン排出の削減、化石燃料からの移行を加速するとの目標(2024年2月5日付地域・分析レポート参照)に向けた進捗が議論された。
同会合には、IEAのファティ・ビロル事務局長とCOP29議長のムフタル・ババエフ氏(アゼルバイジャン環境天然資源相)が共同議長となり、国連、OECD、アフリカ連合(AU)のほか、ドイツ、アイルランド、マラウイ、シエラレオネ、トーゴ、ウガンダ、トルコなどの気候変動・エネルギー関連の高官70人以上が参加した。
アフリカでの調理における脱炭素を推進
IEAは、同会合とあわせて、脱炭素に配慮したクリーンな調理設備の普及に関するサミット「アフリカ・クリーンクッキング・サミット」を初めて開催した。同サミットでは、世界で約20億人規模の直火や木材・木炭、廃棄物などを燃料とした簡易コンロを利用する人々に焦点を当てた。特にアフリカでは約10億人がクリーンな調理設備を利用できていないとし、その対策のためにタンザニア政府、ノルウェー政府、アフリカ開発銀行の主導で約22億ドルの資金を募ったところ、各国政府や民間企業が拠出を表明した。
クリーンな調理ツールは簡単に手頃な価格で入手可能だが、その普及は長い間見過ごされており、脱炭素のほか、利用者の有毒ガスや煙の吸引を防ぐなど健康面の問題解決の転換点ともなる可能性があるという。
バクーでビジネスフォーラムも開催
また、COP29議長国のアゼルバイジャンは5月17日、バクーにおいて「COP29持続可能性ビジネスフォーラム」を開催した。COP29 のババエフ議長は「民間企業はすでに気候変動対策に関するネットゼロ目標の達成に向けて前進しているが、さらに取り組みを加速させる必要がある」と主張した。同フォーラムにはアゼルバイジャン企業が参加し、温室効果ガス排出量の削減のほか、気候変動対策のためのイノベーションとファイナンスの活性化について議論した。
(井澤壌士)
(世界、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、アフリカ)
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