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米民主党大統領候補のハリス氏にCNNが独占インタビュー、中間層支援も具体的措置は示さず(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月2日 10時20分

11月に行われる米国大統領選挙に向け、民主党から大統領候補として指名されたカマラ・ハリス副大統領が8月29日、米メディア大手CNNの独占インタビューに応じた。副大統領候補に指名されているティム・ウォルズ・ミネソタ州知事も同席した。

インタビューの冒頭、大統領選で勝利した場合、就任初日に何を行うのかとの質問に対し、ハリス氏は中間層に対する経済支援を行うと強調した。同氏は8月16日の選挙キャンペーンで、住宅コストや食品価格の抑制に向けた中間層強化の経済政策方針を発表していたほか(2024年8月19日記事参照)、民主党の政策綱領にも同様の政策方針が掲げられている(2024年8月20日記事参照)。ただし、大統領令を発表するなどといった具体的な措置については述べなかった。

また、ハリス氏は「私は自分のキャリアを、多様な意見を受け入れることに費やしてきた。最も重要な決定がなされるときに、異なる見解や経験を持つ人々がテーブルにつくことは重要だ。私の閣僚に共和党員がいることは、米国民にとって有益だ」と述べ、具体的な候補については考えていないとしながらも、共和党からも閣僚を起用する可能性を認めた。バイデン政権やトランプ政権では、自身と異なる政党から閣僚を起用しなかったが、オバマ政権下では国防長官を共和党から起用するなど、大統領が他の政党から少なくとも1人を閣僚に指名することは「伝統」ともされている(CNN8月29日)。なお、8月の民主党全国大会では、アダム・キンジンガー元連邦下院議員(イリノイ州)、トランプ政権下でホワイトハウスの報道官などを務めたステファニー・グリシャム氏、アリゾナ州メサ市のジョン・ジャイルズ市長など(2024年8月23日記事参照)、穏健派の共和党員が参加し、ハリス氏支持を表明した。

気候変動対策では、ハリス氏は「私の価値観は変わっていない」とし、気候変動対策の重要性をあらためて強調した。ただし、石油・ガスを含む頁岩(シェール)層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールオイルやシェールガスを採取する水圧破砕法(注1)は禁止しないと明言した。一方で、2020年の大統領選予備選挙に立候補した際に、ハリス氏は水圧破砕法を禁止すると述べており、その点を追及されると、「2020年、私は自分の立場を明確にした」「2024年になり、私はその立場を変えていない」と、曖昧に述べるにとどめた。議会専門紙「ザ・ヒル」(8月29日)は「根本的な矛盾にさらなる注目を集めるだけだった」と評している。なお、ザ・ヒルは、全体的にはハリス氏とウォルズ氏は無難にインタビューに対応したとし、「彼らの勢いをそぐようなことは何もしていない」「ささやかなミッションは達成された」と総括している。

ハリス氏は今後、9月10日にドナルド・トランプ前大統領と大統領候補による討論会、ウォルズ氏は10月1日に共和党副大統領候補のJ.D.バンス上院議員(オハイオ州)と討論会に臨む(2024年8月16日記事参照、注2)。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)地盤への砂、水、化学薬品の注入に起因する潜在的な健康リスクを懸念する指摘もある。

(注2)トランプ氏、バンス氏ともに複数回の討論会を提案している。これに対し、ハリス氏は追加でもう1度の開催に同意している。ウォルズ氏は追加開催に同意していない。

(赤平大寿)

(米国)

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