インドネシア次期大統領が中国の習国家主席と会談、当選後初の外国訪問（インドネシア、中国）

インドネシア国防省は4月1日、次期大統領となるプラボウォ・スビアント国防相が中国を訪問し、習近平国家主席と会談したと発表した。今回のプラボウォ国防相の訪中は、中国政府の招待により実現した。2月14日に行われた大統領選挙で当選後、プラボウォ大臣にとって初の外国訪問となった。

会談においてプラボウォ大臣は、両国間の包括的な戦略的パートナーシップを強化するための行動計画の実施継続に意欲を示した。さらに、「防衛協力に関して、中国は地域の平和と安定を確保する上で重要なパートナーの1つ」とした。習国家主席は、防衛、経済、安全保障などを含めたインドネシアとの包括的な戦略的協力を強化するため、中国のコミットメントを表明した。その上で、東南アジア地域の海洋安全保障維持における両国間の協力の重要性を強調した。また、4月3日付の当地経済紙「ジャカルタ・ポスト」によると、習国家主席は2023年10月に開業したジャカルタ～バンドン間の高速鉄道を「質の高い2国間協力の一例だ」と述べた。

プラボウォ大臣は4月2日に、中国の李強首相とも会談した（インドネシア国防省4月2日）。李首相は「中国とインドネシアの関係が急速に発展し、将来の共同体を構築する新たな章が開かれた」とし、プラボウォ大臣の中国訪問を「中国とインドネシアの深い友好関係の表れだ」と述べた。また、国連や東アジアの協力メカニズムなどを通じて、インドネシアを含めた多国間でのコミュニケーションと協力を強化し、発展途上国の利益を共同で守る用意があるとした。

中国はプラボウォ次期大統領との関係強化を意識か

プラボウォ大臣の大統領就任式は10月20日に開催するとされている。ガジャマダ大学の国際関係学部で講師を務めるイルファン・アルダニ氏は、プラボウォ大臣が就任式の半年以上前に中国政府から招待されたことについて、「中国政府は、過去10年間で築き上げた中国とインドネシアの関係をプラボウォ氏に無視されないようにしたい考えがある」とした（メディア「リプタン6」4月2日）。

（大滝泰史）

（インドネシア、中国）