ギリシャ、クルーズ料金の導入など含む税制法施行（ギリシャ）

ギリシャ議会は12月4日の本会議で、税制法案「所得向上策、イノベーションや事業転換に対する税制優遇措置、その他の規定」を可決し、施行された。同税制法の中には、クルーズ船での入港者への新課税や、宿泊にかかる気候変動レジリエンスフィーの増額などの措置を盛り込んだ。同措置は9月7～15日に開催されたギリシャと外国の製品・サービスをビジネス関係者や一般客向けに紹介するテッサロニキ国際展示会で、キリアコス・ミツォタキス首相が発表したもの。

観光目的の商業用娯楽船でギリシャの港に下船する乗客に料金が課される「クルーズ料金」については、次のとおり、乗客1人当たり、かつ港ごとに課される。

6月1日～9月30日：ミコノス島とサントリーニ島の港での下船は20ユーロ、その他の国内港での下船は5ユーロ。
10月1日～31日、4月1日～5月31日：ミコノス島とサントリーニ島の港での下船は12ユーロ、その他の国内港での下船は3ユーロ。
11月1日～3月31日：ミコノス島とサントリーニ島の港での下船は4ユーロ、その他の国内港での下船は1ユーロ。

クルーズ料金から徴収した収益は、インフラ建設や改善、観光事業の強化に使用され、3分の1ずつを内務省と海運・島嶼（しょ）政策省、観光省の予算に計上する。

また、気候変動レジリエンスフィーに関する改正の一環として、ホテルや短期賃貸物件などへの宿泊にかかる税を増額する。1日当たり部屋ごとに課す。増額後の料金は次のとおり。

〇4月～10月

ホテルでは、ランクごとに、1～2つ星：2ユーロ、3つ星：5ユーロ、4つ星：10ユーロ、5つ星：15ユーロ。
家具付き賃貸物件（アパート）では、2ユーロ、短期賃貸物件では、広さによって8～15ユーロ。
自炊式宿泊施設〔観光用家具付き邸宅（ビラ）や住居〕では、広さによって8～15ユーロ。

〇11月～3月

ホテルでは、1～2つ星：0.5ユーロ、3つ星：1.5ユーロ、4つ星：3ユーロ、5つ星：4ユーロ。
家具付き賃貸物件（アパート）では、0.5ユーロ、短期賃貸物件では、広さによって2～4ユーロ。
自炊式宿泊施設〔観光用家具付き邸宅（ビラ）や住居〕では、広さによって2～4ユーロ。

得られた収入は、自然災害の予防と復旧のための国家予算に計上するほか、観光産業を支える新規インフラプロジェクトやインフラ改善費用にも充当する。

12月15日にギリシャ議会が承認した2025年予算では、クルーズ料金の導入によって5,200万ユーロの確保を見込むほか、宿泊への気候変動レジリエンスフィーの増額により、年間2億300万ユーロの収入を見込む。

ギリシャ観光連盟（SETE）のレポートによると、2023年のインバウンド観光者数は3,270万人（クルーズを含めると3,610万人）に達し、同年のギリシャ経済に対する観光業の貢献は、直接的な要因（インバウンド観光、クルーズ、航空会社、フェリーの収益、国内観光、観光投資を含む）だけでも285億ユーロで、同国GDPの13.0％に相当する。

（井上友里、山本千菜美）

（ギリシャ）