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法人税収入が前年から大幅増、第2四半期のGDPは前期比1.0%減(アイルランド)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月30日 13時0分

アイルランド政府は9月4日、同国の8月末までの税収は598億ユーロで、前年同期比12.6%だったと発表した。所得税6.9%増、付加価値税7.5%増、物品税14.0%増など、幅広い税目で大幅な増収を記録したが、特に法人税の28.4%増が全体の増大に寄与した。法人税収入は163億ユーロで、前年から36億ユーロ増大した。報道によると、アイルランドに拠点を置く世界的企業(主にテクノロジー企業と製薬企業)からの法人税収入の急増により、政府の財源があふれている(overflow)。(「フィナンシャル・タイムズ」9月2日)。

また、9月10日にはEU司法裁判所(CJEU)の米アップルに対するアイルランドへの追加課税支払い命令の判決が出たことから、一時的なさらなる税収の増加が見込まれる(2024年9月12日記事参照)。

なお、2025年度の予算発表は10月1日を予定している。

アイルランド中央統計局(CSO)の9月5日付発表によると、同国の2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前期比マイナス1.0%だった(暫定値)。なお、国内経済への影響が少ない外資系企業の大規模な取引を除外した修正国内需要(MDD、注)については、前期比0.5%減だった。

第2四半期のGDP成長率(前期比)を需要項目別にみると、家計最終消費支出が1.1%、政府最終消費支出は1.5%と拡大したものの、国内総固定資本形成がマイナス65.1%だったことによりGDP全体が引き下げられたが、CSOはその原因を多国籍企業による知的財産(IP)の輸出にあると述べた。輸出は12.1%増、輸入は4.7%増となった。

産業別では、行政・教育・医療が前期比0.8%増、不動産は0.9%増で、成長率を引き上げた。一方、芸術・娯楽・その他サービスは10.1%減、専門・管理・サポートサービスは2.9%減、流通・運輸・宿泊・飲食は1.1%減と、多くの分野ではマイナス成長だった。

ジャック・チェンバース財務相は「今後の展望として、インフレは現在大幅に緩和しており、短期的には安定した軌道を維持すると予想される。これは実質所得を押し上げることにつながり、2024年下半期の国内経済の成長をさらに後押しするはずだ」と述べた。

(注)輸出、輸入を除いた国内総需要(TDD)から、リース会社が購入した航空機や知的財産(IP)などの投資を除外している。

(松丸晴香、尾関康之)

(アイルランド)

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