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米共和党が政策綱領発表、中国との恒常的正常貿易関係の撤回など表明(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 11時0分

添付資料PDFファイル(290 KB)

米国共和党のドナルド・トランプ前大統領の選挙陣営は7月8日、同党の2024年の政策綱領が党全国委員会で承認されたと発表した。厳しい国境措置や減税、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回など、これまでトランプ氏が公言していた内容を反映した。今回承認された綱領の草案の一部は、トランプ氏自身が執筆したとされている(政治専門紙「ポリティコ」7月8日)。

前回の2016年の政策綱領は66ページに及んだが(注1)、今回は16ページと大幅に短縮された。トランプ陣営のシニアアドバイザーのクリス・ラシビータ氏とスージー・ワイルズ氏は声明で、今回の政策綱領は「米国を再び偉大にするという(トランプ氏の)ビジョンを、全ての有権者にとって簡潔で消化しやすいかたちで明確にしている」と述べた。

綱領では、共和党が大統領選挙で勝利し、連邦議会上下両院で多数派を獲得した場合に、「速やかに達成する20の約束」として、「国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する」「米国史上最大の強制送還作戦を実行する」「インフレを終わらせ、米国に再び手頃な価格をもたらす」「米国を世界有数のエネルギー生産国にする」「アウトソーシングをやめ、米国を製造大国にする」「電気自動車(EV)の義務化を中止し、高コストで負担の大きい規制を削減する」などといった20項目を挙げた(添付資料参照)。

政策綱領では20の約束のほか、「インフレを打破し、全ての物価を速やかに引き下げる」「国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する」「米国の労働者と農民を不公正貿易から守る」など、10の項目について政策方針も記載した(添付資料参照)。そのうち不公正貿易の箇所では、貿易をリバランスさせるため「共和党は外国製品に対するベースライン関税(注2)を支持し、トランプ互恵通商法(注3)を成立させる」とし、関税収入を上げることで米国の税金は下げられるとした。中国に対しては、「最恵国(MFN)待遇を撤回し(注4)、必要不可欠な商品の輸入を段階的に停止し、米国の不動産や産業の買収を阻止する」として、中国からの戦略的独立を訴えた。自動車産業に対しては、バイデン政権で課された規制やEV購入義務の撤廃、中国車の輸入阻止などによって、「米国の自動車産業を復活させる」とした。そのほか、重要なサプライチェーンの米国回帰や、「バイアメリカン・ハイヤーアメリカン」に対する共和党の支持も明記した。

大統領選挙の争点の1つとなっている人工妊娠中絶については、「遅い時期の中絶に対しては反対する」と述べるにとどめ、「妊婦検診、避妊具へのアクセス、IVF(不妊治療)を推進する母親と政策を支援する」と記載した。

共和党の全国大会は7月15~18日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれる。その場でトランプ氏が正式に共和党の大統領候補者として指名され、副大統領候補も正式に決定する予定となっている。

(注1)共和党は2020年の選挙時には、政策綱領を発表しなかった。

(注2)トランプ氏が公言していた全世界からの輸入に一律10%の関税を課すこと。

(注3)米国へ輸出する国がある製品に対して課している関税率と、同じ関税率を米国輸入時にも課す法案。

(注4)恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回を指す。PNTRのステータスがあることで、MFN税率が適用される。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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