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最低賃金を事実上250万キープに引き上げ(ラオス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月15日 0時40分

ラオス国家労働委員会は、9月27日付で「低所得労働者への生活支援金の支払いに関する告示3534号」を発布した。同告示では、10月1日から全国の雇用者は、専門技能を持たない労働者に対して月90万キープ(約5,940円、1キープ=約0.0066円)分の生活支援金を支給する、または最低給与額を250万キープ以上とするよう指示した。今回の生活支援金支給対象となるのは、月250万キープ未満の低所得労働者としている(注1)。

ジェトロが10月8日に労働社会福祉省へ確認したところ、今回の告示は事実上の最低賃金の改正だという。現行の法定最低賃金(注2)である160万キープ(2023年8月22日記事参照)に基本給の増額や生活支援金を加え、少なくとも250万キープにすることを義務付けたものだ。例えば、既に基本給が200万キープの場合は、生活支援金は50万キープとしてよいとのこと。これには、さまざまな福利厚生や手当などを含めてはならないとした。今回、法定最低賃金として改正しなかった理由としては、今後もインフレ率の動向などに応じて機動的な生活支援金の増減を行うため、と説明した。

ラオスは現地通貨キープ安の影響を受け、2022年6月からインフレ率が23.6%に達し、その後もインフレが進行して2023年2月には41.3%となった。現在でも高いインフレ率が続き、2024年9月では21.7%と高水準のままで、賃金の伸びが物価の上昇率を大きく下回っている状態が続いている(2024年3月21日付地域・分析レポート参照)。

なお、最低賃金は2022年8月に120万キープ、2023年5月に130万キープ、2023年10月に160万キープに引き上げられてきた。

(注1)本告示では、次のとおりに規定している。

1. 10月1日から、生産・ビジネス・サービス事業の雇用者は、職業技術を持たない・低学歴で職業トレーニングを受けていない自社の労働者に対し、月90万キープの生活支援金を支払うこと、もしくは月給を250万キープ以上とすること。同措置は10月1日から実施すること。
2. 生活手当を受ける対象者は、制度外の労働者、家庭内労働者を含み、所得が月250万キープ未満の者とすること。これには時間外手当や福利厚生、その他の手当てを含まないこと。
3. 既に月250万キープ以上の場合は、継続すること。

(注2)2023年9月1日付の最低賃金に関するガイドライン(第3226号)では、最低賃金とは「技術・トレーニング・習熟・職業経験のない新規に労働市場へ入ってきた労働者に対する最低の労働対価で、月26日以下、週6日以下、1日8時間労働とする。その他の手当(生産高手当、時間外労働手当、勤務年次手当、勤勉手当、食費手当、宿泊手当、送迎手当など)を含まないこと」と規定される。

(山田健一郎)

(ラオス)

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