パレスチナのアッバース議長が国連総会で演説、ガザの「戦後」について12項目を提案(パレスチナ、イスラエル、レバノン、米国、世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月27日 16時10分
パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長は9月26日、国連総会で一般討論演説を行った。
アッバース議長は冒頭、「私たちは離れない」と3度繰り返し、「パレスチナはわれわれの故郷であり、われわれのものであり続ける」と主張した。2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃からほぼ1年が経過するが、「イスラエルが大虐殺を犯しており、ガザだけで4万人以上が死亡し、10万人以上が負傷し、事態は悪化している」とイスラエルを非難した。さらに、「イスラエルはレバノン国民に対して新たな侵略を開始しており、イスラエルはレバノンとパレスチナでの戦争を停止しなければならない」と訴えた。ガザ地区については、「イスラエルはガザ地区を再占領し、ほぼ完全に破壊した」として、「ガザはもはや生活に適した場所ではない」と指摘した。
アッバース議長は、「世界はイスラエルに、大量虐殺の戦争と、罪のない一般市民に対する戦争犯罪を止めさせることに成功していない」と指摘するとともに、ガザの即時停戦決議案に対して3回の拒否権を行使(2023年12月13日記事参照)し、パレスチナの国連加盟勧告決議案にも拒否権を行使(2024年4月22日記事参照)した米国を名指しした。
アッバース議長はガザの「戦後」について次の12項目の提案を行った。
1. ガザ地区での包括的かつ恒久的な停戦とヨルダン川西岸地区と東エルサレムにおけるテロリスト入植者による攻撃の停止
2. ガザ地区全体の組織的かつ緊急の人道支援
3. イスラエルのガザ地区から完全撤退
4. 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)や人道組織の保護
5. 占領地にいるパレスチナ人に対する国際的な保護
6. PAがガザ地区やラファ検問所の管轄権を持つこと
7. PAによる「包括的な国家改革プロセス」の取り組み継続
8. PAがガザ地区、ヨルダン川西岸、東エルサレムの全ての領土に対して権限を持つこと
9. 国連正式加盟国になるための国際支援
10. 12カ月以内にイスラエルの占領を終わらせる国連決議の完全実施
11. 国際平和会議の開催
12. パレスチナとイスラエルの安全保障のための国連平和維持軍の設置
また、アッバース議長は数週間前にガザを訪問することを決定したが、この訪問へのいかなる国家や当事者の参加を歓迎すると述べた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(パレスチナ、イスラエル、レバノン、米国、世界)
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