1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

国連世界観光機関、中東の観光分野への投資に注目(中東)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月30日 9時40分

国連世界観光機関(UNWTO)は5月22日から23日にかけて、UNWTO第50回中東地域委員会を開催し、中東地域の観光産業の成長と、持続可能な観光産業の構築に向けた投資の重要性が話し合われた。委員会では、「観光への投資:持続可能な資金調達の機会と課題」と題した特別会議が開催され、中東諸国が投資大国として成長している中で、持続可能な方法で観光産業に資金調達を行うための、パートナーシップや革新的な資金調達のメカニズムの導入などに焦点が当てられた。

UNWTOのエグゼクティブダイレクターのナタリア・バヨナ氏は基調講演で、過去5年間に中東諸国は観光分野に約140億ドルを投資し、そのうち3億4,100万ドルが観光に関連したIT技術に投資されていることについて、「中東地域は今や観光産業の革新と投資の先駆者になっており、よりデジタル化した影響力のある分野を構築する取り組みを示している」と述べた。

国連によると、中東地域では2018年から2023年までの間に、観光分野で254件のグリーンフィールド(注1)プロジェクトが発表された。投資総額は152億ドルにのぼり、これらのプロジェクトにより、同期間内に3万3,600人以上の雇用を創出したと見込まれる。また、中東諸国は観光分野における海外でのグリーンフィールドプロジェクトへの直接投資を109件発表しており、投資総額は68億ドルに達するとしている。UNWTOのズラブ・ポロリカシュビリ事務局長は「中東地域は観光産業革新の中心地である。そしてあらゆるレベルで観光を変革するプロジェクトを支援する主要な投資家でもある」と中東諸国の観光分野への投資に期待を示した。

2023年に中東(注2)を訪問した外国人観光客は約8,630万人で、新型コロナ禍前に比べて22%増加しており、世界全体でも、2019年の水準を越えた唯一の地域だった(2024年2月5日記事参照)。また、国別にみると、サウジアラビアが2,740万人の外国人観光客を迎え入れ(2024年5月9日記事参照)、アラブ首長国連邦のドバイは国外からの宿泊を伴う来訪者が前年比19%増の1,715万人だったと発表している(2024年3月5日記事参照)。さらに、UNWTOは同委員会の中で、「観光ビジネス:投資ガイドライン」を発表し、ヨルダンでは2019年より18.5%増の630万人の観光客が国外から訪問したとし、同国の観光産業が目覚ましく回復したことを伝えた。

(注1)親会社が別の国に子会社を設立し、ゼロから事業を構築する投資を直接投資の一種をグリーンフィールド投資という。

(注2)UNWTOのデータでは、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、オマーン、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、シリア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンが中東に含まれる。

(加藤皓人)

(中東)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください