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スウェーデン、BECCSプロジェクトに360億クローナ支援(スウェーデン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月30日 0時40分

スウェーデン政府は7月18日、バイオマス使用時に排出された二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術(BECCS)に対する国家支援の規則を発表した。2026年から2046年にかけて、360億スウェーデン・クローナ(約5,040億円、SEK、1SEK=約14円)をリバースオークション(注1)を通じて選定された企業に配分する。同規則は、EUの国家補助規則に適合されるように設計されており、7月2日に欧州委員会から承認を得ている(欧州委員会プレスリリース)。

支援対象は、スウェーデン国内の生物由来CO2の回収・輸送・地下貯留活動で、年間で最低5万トンの生物由来CO2の貯留に関する活動。選定されたプロジェクトは、最大15年間にわたり、CAPEX(資本的支出)およびOPEX(事業運営費)に対して支援が行われる。オークションは、スウェーデンエネルギー庁によって実施され、初回オークションは2024年内の実施を目指す。

スウェーデン政府は2045年までのネットゼロを目指しており、温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で少なくとも85%削減し、残り15%を森林や土地への炭素隔離、CCS、国外での排出削減努力などで達成する。BECCSについては、2030年までに年間200万トンの生物由来のCO2を回収・貯留することを目標としている。スウェーデンには、熱電併給(コージェネレーション:CHP)、製紙・パルプ工場、廃棄物焼却場など、バイオマスを燃焼する施設が多数存在し、BECCS導入のポテンシャルが高い。2045年には、少なくとも年間1,000万トンの生物由来CO2を回収・貯留するポテンシャルがあるとされている。

エネルギー企業のストックホルムエクセルギは5月6日、マイクロソフトとBECCS由来の炭素除去証書を供給する契約を締結した(同社プレスリリース)。ストックホルム・ベルタンのバイオマスCHP発電所に導入予定のBECCSプラントによる333万トン相当の炭素除去証書を2028年から10年間にわたり供給する予定で、炭素除去証書の供給契約としては世界最大規模としている。同社は、本プロジェクトはEUイノベーション基金の支援に依存しており、採算性を確保するためにはボランタリークレジット市場(注2)での炭素除去証書による収入が必要不可欠とコメントしている。

(注1)買い手(政府)が仕様や条件などを提示した後、売り手(企業)が各自の価格を提示、その中で最も低い価格のものを選ぶ方法。

(注2)カーボンクレジット市場には、国連・政府主導のものと、民間主導のもの(ボランタリークレジット)がある。

(奈良陽一、篠崎美佐)

(スウェーデン)

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