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現政権の評価と大統領選の見通し、日系企業に聞く(スリランカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月17日 10時0分

スリランカでは、9月21日に大統領選挙が実施される。ジェトロは、2022年7月に就任したラニル・ウィクラマシンハ大統領の経済政策への評価と大統領選の見通しについて、在スリランカ日系企業7社(製造業2社、サービス業5社)に話を聞いた(9月9~11日)。概要は次のとおり。

ウィクラマシンハ政権の運営について、政権発足時には燃料不足や停電、物価高騰の影響が大きかったが、深刻な外貨不足を解消し、短期間でマクロ経済を回復させた点を高く評価する声が上がった(2024年6月19日記事参照)。他方、同政権がIMFによる金融支援プログラム(2023年3月22日記事参照)に基づいて付加価値税や所得税を大きく引き上げたことで、現在も市民生活は苦しい状況が続いているという指摘があった。

大統領選の見通しに関しては、混戦が続いているものの、野党・国民の力(NPP)/人民解放戦線(JVP)党首のアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ氏が優勢で、野党・統一人民戦線(SJB)党首のサジット・プレマダーサ氏が対立候補として争い、無所属で立候補した連立与党・統一国民党(UNP)党首のウィクラマシンハ大統領は劣勢という予測が大半を占めた。ディサーナーヤカ氏が支持を広げる背景としては、汚職の根絶による政治刷新への強い期待が指摘された。また、ウィクラマシンハ大統領については、任期途中で退任したゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領の出身政党で、今なお国会で多数派の議席を占めるスリランカ人民党(SLPP)と連携して政権を運営していることから、国民の反発が強いという見方が示された。

大統領候補者への期待としては、民間債権者との債務再編への最終合意による格付けの引き上げ(2024年7月8日記事参照)や、ガバナンス向上を通じた投資環境の改善、スリランカから輸出する企業への恩典の付与や公平な税の徴収などが挙げられた。他方、IMFとの合意内容の修正による国際的な信用や為替レートの悪化、政権運営の経験不足による社会の不安定化、労働組合によるストライキの頻発化を懸念する声も目立った。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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