ADB、南アジア地域の2024年経済成長率を6.3%に据え置き(インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月30日 10時15分
アジア開発銀行(ADB)は9月25日、「アジア経済見通し(ADO)2024年9月版」で、南アジア地域(注)の2024年GDP成長率を6.3%に据え置いた。2025年については6.5%と前回4月の公表値(2024年5月22日記事参照)から0.1ポイント引き下げる見通しを示した。
同地域経済の約80%(GDPベース)を占めるインドは、引き続き強靭(きょうじん)な成長が見込まれ、2024/2025年度(2024年4月~2025年3月)のGDPは7.0%成長、2025/2026年度は7.2%成長と前回予測を据え置いた。成長の要因として、農業分野の回復や工業およびサービス分野の堅調さを挙げた。また、2024/2025年度の輸出については、ITや専門サービスなどが牽引し伸長した。また、民間消費も農業分野の回復が背景要因として改善するとした。2024/2025年度のインフレ率については、前回予測から0.1ポイント引き下げ4.7%とした。
バングラデシュ経済については、2024年7月から8月にかけて発生した政情不安に加え、8月の洪水被害が影響し、2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)の成長率は前回予測から1.5ポイント引き下げ5.1%となる見通しを示した。今後については、政情や治安に不安要素が残るため、下振れリスクは高いとした。
スリランカの2024年(暦年)GDP成長率は、サービス産業や農業分野での堅調な成長を背景として前回予測から0.7ポイント引き上げの2.6%に上方修正された。ただし、債務再編の遅延が下振れリスクとなると指摘した。
パキスタンの2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の成長率については、前回予測から0.5ポイント引き上げ2.4%とした。エネルギー業界の効率化や気候変動へのレジリエンス、ビジネス環境の改善を理由に挙げた。また、2024/2025年度も引き続き成長が加速するとされ、2024年9月25日に合意されたIMFプログラムの影響で経済再編が進むと期待を示した。
(注)南アジア地域:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。
(深津佑野)
(インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン)
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