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紛争や気候の影響で中東・アフリカでの食糧危機が拡大、FAO報告(アフリカ、中東、パレスチナ、スーダン、エチオピア、ナイジェリア、ケニア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月11日 0時35分

国連食糧農業機関(FAO)と国連世界食糧計画(WFP)は10月31日、世界の食糧危機や飢餓に関する報告書「Hunger Hotspots」を発表した。同報告書は、22カ国・地域が深刻な食糧危機にあると警告する。このうち、20カ国・地域が中東・アフリカに位置する。

食糧危機の水準をみると、パレスチナ、スーダン、南スーダン、ハイチ、マリは、紛争などの影響により最高警戒レベルにあるという。また、チャド、レバノン、ミャンマー、モザンビーク、ナイジェリア、シリア、イエメンでも非常に深刻な食糧不安に直面している。さらに、2024年6月時点の前回報告から、ケニア、レソト、ナミビア、ニジェール、ブルキナファソ、エチオピア、マラウイ、ソマリア、ザンビア、ジンバブエのアフリカ10カ国が、今回、新たに深刻な食糧危機リストに追加された。

食糧危機に直面する人数は、ナイジェリアで3,180万人(総人口の16%)、スーダンで2,110万人(同45%)、イエメンで1,900万人(同55%)、エチオピアで1,580万人(同13%)の順で多かった。ナイジェリア、エチオピアでは人口規模が大きいため食糧危機の割合が低いものの人数が多く、スーダン、イエメンでは人口の約半分が食糧危機と割合が高かった。なお、スーダンでは紛争の拡大により、国内避難民が約810万人、近隣諸国などへの難民が約290万人で、国内外への避難民の数は過去最多だという。

なお、国内避難民モニタリングセンターは、2023年の世界の「国内避難民」は7,590万人で、スーダンやパレスチナのガザ地区で多いと発表した(2024年5月16日記事参照)。また、国際移住機関(IOM)は移民の受け入れは湾岸諸国が多いと報告を発表している(2024年5月20日記事参照)。

また、FAOの屈冬玉事務局長は「激化する紛争、気候危機、経済ショックにより、前例のない長期にわたる飢餓に直面している。命を救い、深刻な飢餓と栄養失調を防ぐために(紛争地での)人道的停戦が必要だ」と指摘した。加えて、「平和は食糧安全保障の前提条件であり、平和がなければ農家は食糧の栽培・収穫や、生計の維持ができない」と述べた。

FAOの報告書では、紛争など武力衝突のほか、2025年3月まで発生する見通しのラニーニャ現象などの気候の影響により、ナイジェリア、南スーダンなどで洪水の懸念、および、ソマリア、ケニア、エチオピアでの干ばつの懸念があり、数百万人に飢餓をもたらす可能性があるとの予測を示した。

(井澤壌士)

(アフリカ、中東、パレスチナ、スーダン、エチオピア、ナイジェリア、ケニア)

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