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米連邦地裁、連邦政府支出の凍結措置を一時差し止め(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月30日 13時0分

米国のコロンビア特別区連邦地裁は1月28日、トランプ政権が出した、連邦政府支出の一時凍結措置(2025年1月30日記事参照)の執行を一時差し止めた上で、2月3日にさらなる措置を下すか否か判断するための審問を実施すると発表したと、複数の現地メディアが報じた。この訴訟は、非営利団体、公衆衛生協会、中小企業のグループなどから提起されたもので、ニューヨーク州などによる訴訟は別途審査される見込みとなっている。

裁判所による一時差し止めにもかかわらず、州の医療費援助メディケイド部門が連邦政府から資金を受け取るサイトがダウンするなど、現場レベルでは混乱が生じている(「ニューヨーク・タイムズ」紙1月28日)。また、低所得の妊婦や乳幼児などを支援する団体(National WIC Association)が「政権は女性・乳児・子供のための特別栄養補給プログラム(WIC)の受給者の家族に安心感を与えるどころか、完全に誤った資金凍結に乗り出しており、不必要な混乱を招き、破滅的な結果を招く可能性がある。WICが行政管理予算局の有害な指令の対象にならないと政権が明確にするよう積極的に求めていく」との声明を発するなど、各所から政府に対応を見直すよう求める声も出ている。

こうした状況に関し、ジョン・ブーズマン上院議員(アーカンソー州、共和党)が「メモが何を意味しているのか理解する必要がある。あまりに広範に書かれているように見える」と凍結措置の対象などの明確化を求めるなど、共和党内からも対応を求める声があがる(政治専門紙「ポリティコ」1月28日)。

こうした批判を受け、ホワイトハウスも不安の払拭に取り組み始めている。ホワイトハウスは1月28日にQ&Aを発表し、この中で凍結措置の対象となるのは、「米国民を侵略から保護する」「米国の対外援助を再評価および再調整する」「国際環境協定でも米国を第一に位置づける(2025年1月22日記事参照)」「米国のエネルギーを解き放つ(2025年1月22日記事参照)」「連邦政府の多様性、公平性、包摂性(DEI)を終了する(2025年1月28日記事参照)」「ジェンダーイデオロギー過激主義から女性を守り、連邦政府に生物学的真実を取り戻す」「(人工中絶費用を公費でまかなわない)ハイド修正条項を行使する(2025年1月30日記事参照)」の7つの大統領令に関連するものに限定されるとの見解を示した。これらに関係しないプログラムや、個人が直接受益者となるプログラムは一時停止の対象にはならないとしている。個人向けプログラムとしては、1月27日の時点で明示されていた社会保障とメディケアに加え、メディケイド、低所得者向け食料支援のフードスタンプ、中小企業や農家向け支援、連邦による大学生に対するペル奨学金、低所得者向け就学支援プログラム、家賃補助などが例示されている。ただし、上記の中には、団体を通じて給付されるプログラムもあり、これらがどのように扱われるのかは依然として不明だ。また、上記の大統領令に具体的にどのプログラムが該当し得るのかという点自体、現在各省庁が精査している段階で、当面、不透明感が続く可能性が高い。

(加藤翔一)

(米国)

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