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IMF、MENA地域の石油輸出国への地域紛争の影響は限定的と報告(中東、湾岸協力会議(GCC))

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月14日 0時20分

IMFは10月31日、中東と中央アジアの経済見通しを発表し、2024年の中東・北アフリカ(MENA)地域(注1)の経済成長率は2.1%と、2024年4月の見通しから0.6ポイント下方修正し、同地域の脆弱(ぜいじゃく)性は依然として高いとした。IMFは、下方修正の要因として石油の自主減産の長期化と紛争の継続をあげ、特に紛争は人的な被害だけではなく、経済的な損害ももたらしているとした。なお、2025年の経済成長率は4.0%に回復すると予測した。

IMFは、MENA地域の中でも石油の輸出国(注2)と輸入国(注3)でその状況は大きく変わるとし、2024年、2025年の成長率の見通しをそれぞれ2.3%と4.0%、1.5%と3.9%と予測した。石油輸出国では、石油減産の延長により2024年の成長率は前回4月の見通しから0.6ポイント引き下げたものの、地域紛争による経済への影響が限られていたことや、貿易ルートの代替により貨物貿易量の減少が相殺されたことにより、昨今の不確実な世界情勢を乗り越えていると評価した。その中でも、湾岸協力会議(GCC)諸国は、石油関連の経済活動が抑制されているものの、経済改革に取り組んだことで非石油部門が石油部門の縮小を相殺し、GCC以外では、イランやリビアが資源価格の上昇の恩恵を受け、イラクが財政刺激策と農業部門の業績に後押しされ、経済成長を支えたとした。一方で、石油輸入国については、紛争や紅海の混乱などによる不確実性、各国固有の課題によって成長は引き続き抑制されているとした。その中では、エジプトやヨルダンの観光業に回復は見られているとも報告した。2024年、2025年以降については、石油輸出国は石油減産の期限到来を条件に、石油輸入国は紛争や石油価格などの落ち着きで、2023年からそれぞれ回復を予測したものの、例えば石油輸出国では経済の多角化を目指す改革の成果が出るのには時間がかかることから、中期的な成長は緩やかになるとした。

また、同地域では世界的な傾向と同様に、インフレが緩和している。エジプトやイランなど依然として高いインフレ水準にある一部の国を除くと、インフレ率は2024年が3.3%、2025年は3.0%に緩和すると予測した。特にGCC諸国では、安定したインフレ率を維持するとし、中期的には約2.0%のインフレ率で推移すると予測した。

なお、世界銀行も10月16日に同地域の経済見通しを発表しており、2024年は2.2%と予測している(2024年10月18日記事参照)。

(注1)MENA地域:アルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン川西岸地区とガザ地区、イエメン

(注2)石油輸出国:バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、UAE、サウジアラビア、アルジェリア、イラン、イラク、リビア

(注3)石油輸入国:エジプト、ヨルダン、レバノン、モロッコ、パキスタン、チュニジア、ヨルダン川西岸地区とガザ地区、アフガニスタン、ジブチ、モーリタニア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン

(加藤皓人)

(中東、湾岸協力会議(GCC))

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