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マレーシア、EUとのFTA交渉再開を閣議で承認、実現すれば12年ぶり(マレーシア、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月10日 11時20分

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は9月5日、EU側の合意があれば、マレーシアとして自由貿易協定(FTA)交渉再開の準備はできているとする声明を発表した(MITIプレスリリース)。EUとのFTAは、マレーシアの企業と国民に大きな利益をもたらし、主要産業におけるグローバルサプライチェーン確保に資する、とMITIは指摘した。

マレーシアとEUのFTA交渉は2010年10月に立ち上がり、2012年9月までに8回の交渉会合が行われたが、パーム油(2024年3月12日記事参照)、政府調達、補助金、EUの持続可能性条項など、重要分野で意見の相違があったことで、これまで12年間交渉が中断されている。MITIは2023年9月に、交渉の範囲などを定める(スコーピング)作業を開始し、過去の交渉における両者の立場を調整する方法を検討。作業の結果は、前週の閣議で承認された。MITIは、依然としていくつかの核心的分野で課題があることは認めつつ、マレーシアの利益を守りながらも、双方が受け入れることのできる実現可能な草案の作成に努めるとしている。

MITIによると、2023年にEUはマレーシアにとって、中国、シンガポール、米国に次ぐ第4位の貿易相手国・地域に当たり、貿易総額は2,067億9,000万リンギ(約6兆8,244億円、1リンギ=約33円)だった。また投資面では、2023年時点でEU企業による累計1,323件の事業が実施された結果、投資総額は2,279億リンギ、創出雇用は15万3,139人に上ったと推計した。MITIは、FTA実現により、マレーシアの電気・電子製品、パーム油および同製品、光学・科学機器のEU市場への輸出増が見込まれるだけでなく、グリーンエネルギーや先進製造業などハイテク分野へのEUからの投資も増加すると期待を示した。

マレーシア政府は中立外交の維持を強調

現地報道によれば、テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、同日放送された衛星放送番組で、マレーシアとEU双方に利益をもたらす「ウィンウィンの状況」を確保する考えだと述べた。マレーシアとしては交渉再開に前向きであり、これを求める国内からの声も多いが、実際に再開できるかどうかはEU次第、とも指摘した。

ザフルル氏は、東南アジアでEUとのFTAを締結しているのはシンガポールとベトナムのみだと強調したうえで、マレーシアとしてはこのほかにも、EU非加盟の欧州2~3カ国ともFTA締結を目指していると、国名は明かさずに説明した。欧州以外では近々に、2024年末までにアラブ首長国連邦との経済連携協定締結(2023年5月25日記事参照)を目指すのに加え、2024年3月に再開した韓国とのFTA交渉(2024年4月22日記事参照)は2025年にも完了すると見込む。同氏は、マレーシアは国際連携に向けて一貫したオープンで中立的なアプローチを維持しており、すべての国との協調を重視していると強調した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、EU)

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