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在欧日系企業の課題で人材確保が首位、コスト関連が上位に(欧州)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 10時25分

ジェトロが12月19日に公表した「2024年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(注、2024年12月19日記事参照)によると、経営上の問題点では「人材の確保」が65.5%で最大の課題だった。前年比でも10.5ポイントと大幅に増加している。業種別にみても、製造業(69.5%)、非製造業(62.2%)でともに首位となった。

また、「労働コストの高さ」が51.1%、「労働コスト上昇率の高さ」が46.9%となり、人材におけるコスト面の課題も大きいことがわかる。「労働コストの高さ」の上位国はスイス(80.0%)やオーストリア、デンマーク(それぞれ77.8%)などの西欧諸国、「労働コスト上昇率の高さ」の上位国はポーランド(73.7%)やハンガリー(70.0%)などの中・東欧諸国が中心だった。

なお、2024年度の基本給の平均ベースアップ率(名目、平均値)に関する設問では、ベルギーを除く全ての国で、同率が現地インフレ率を上回った。

そのほか、コスト関連項目の「インフレ」(55.0%)、「為替変動」(50.7%)、「輸送コスト」(49.6%)が上位となり、「調達コスト」(40.4%)も前年から9.4ポイント増となった。

前年調査で最大課題だった「ウクライナ情勢」(48.1%)は6番目で、回答率においても前年比7.3ポイント減となった。地域別では、地政学的に影響が大きい中・東欧で56.4%が「ウクライナ情勢」と回答した。

上位の項目以外では、「景気低迷、市場縮小」が前年比で13.0ポイント増となっている。この回答結果は、本調査の「営業利益見通し」のセクションにおいて(2024年12月24日記事参照)、2024年に営業利益「黒字」見込みの割合が欧州全体で前年から3.2ポイント減となったこと、前年と比較した営業利益の「悪化の理由」について「現地市場での需要減少」(60.8%)が最も多く挙げられていることと連動している。

そのほか、「欧州の政治・社会情勢」が37.0%で前年比17.1ポイント増となっており、最近の地政学的情勢が反映されている。

(注)海外進出日系企業実態調査(欧州編)は8月27日~9月19日に実施し、西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業1,324社を対象とした。うち772社から有効回答を得た(有効回答率58.3%)。西欧はドイツ、英国、オランダ、フランス、ベルギー、スペイン、フィンランド、オーストリア、アイルランド、イタリア、スイス、ポルトガル、スウェーデン、デンマークの14カ国、中・東欧はチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロベニア、ブルガリア、スロバキア、モンテネグロの9カ国。

(坂本裕司)

(欧州)

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