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モルディブ、外貨繰りへの懸念高まる(モルディブ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月2日 13時30分

大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは8月29日、モルディブ債の格付け〔長期外貨発行体デフォルト格付け(IDR)〕を「CCC+(持続的に信用リスクあり)」から「CC(高度な信用リスクあり)」に引き下げると発表した。6月に「B-(ある程度の安定性あり)」から「CCC+」に引き下げられたばかりだった。

同社は格下げの理由として、外貨準備高の減少や対外債務の拡大、国際収支の不均衡などに伴うデフォルト(債務不履行)リスクの増大を挙げている。モルディブでは、債務と観光業に依存した大規模開発に伴った財政や対外的な脆弱(ぜいじゃく)性の増大が懸念されていた(2024年3月6日記事参照)。

モルディブ金融管理局が8月29日に発表した月次統計によると、7月末時点の外貨準備高は3億9,540万ドルで、6月末時点の5億920万ドルから22.3%下落し、2016年11月以来の低水準となった。7月末時点の輸入や債務返済など外貨流出額は3億5,180万ドルとなり、外貨の剰余額は4,360万ドルにとどまる。金融管理局は、この剰余額に加えて、対外債務の支払いを目的として設立されたソブリン開発基金の残高6,500万ドルを外貨として利用可能だとしている。なお、7月の貿易額は、輸入が2億9,050万ドル、輸出が2,560万ドルで入超だった。

政府当局は外貨不足への対応を急いでいる。政府は8月25日、外貨建てで収益を上げる企業に対して、ドル建てでの法人税や輸入税の支払いや、企業年金拠出金の徴収を義務付けると閣議決定した。金融管理局は同日、地場のモルディブ銀行にクレジットカードやデビットカードを通じた外貨取引の制限強化を命じた。同行の既存のクレジットカード利用者は、外貨取引が月額100ドルまでに制限され、デビットカード利用者は外貨取引が停止された。加えて、同局は新たなグリーンボンド(環境債)の発行や、南アジア地域協力連合(SAARC)の下で4億ドル規模の通貨スワップ取極の締結などを進めるとしている。

(大井裕貴)

(モルディブ)

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