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米大統領選がタイ経済に与える影響、商務省幹部が分析(タイ、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 10時0分

タイ商務省は10月21日、米国大統領選挙が11月5日に迫る中、同選挙がタイ経済に及ぼす影響に関する声明を発表した。同声明では、いずれの候補が勝利しても異なる影響が予想されており、タイ国内の産業界に必要な対応を呼びかける内容になっている。

影響の分析は、商務省・貿易政策・戦略事務局(TPSO)のプーポン・ナイヤナパコーン局長が行った。同局長は、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ勝利した場合の貿易や投資への影響を整理している。ポイントは次のとおり。

〇貿易

ハリス副大統領が勝利した場合:自由貿易への支持が加速し、米国が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)復帰に動く可能性がある。そうなれば、タイがCPTPP加入申請を再検討する説得材料になる。トランプ前大統領よりも対中関税は厳格でない一方、中国とのサプライチェーンに変化が起こる。
トランプ前大統領が勝利した場合:対中関税が急激に引き上がることが予想される。米国企業が中国からタイに生産拠点を移管する機会につながる可能性あり。また、中国製品に限らず、米国で非関税障壁が課される可能性があり、米国市場での競争力維持のため、タイは製品規格を改善する必要性を認識することになる。

〇投資

ハリス副大統領が勝利した場合:クリーン技術などでタイ向け投資の機会が創出される見込み。例えば、蓄電技術の開発が促され、高性能バッテリー製造のための技術移転が進展する。タイ企業にとっても、太陽光、風力、バイオマスなど再生可能エネルギー分野で、米国での現地企業との共同投資のほか、ハリス副大統領が推進する第5世代移動通信システム(5G)や人工知能(AI)といった分野で、タイの通信・ソフトウエア企業が世界のサプライチェーンに参入する機会が生まれる。
トランプ前大統領が勝利した場合:「米国第一主義」に基づく製造業の国内回帰のための税制優遇により、米国のタイ向け投資が減少すると予測される。その結果、タイの電子機器・自動車部品産業に影響し、技術移転が阻害される。また、半導体や5Gなどのハイテク分野への制限措置に伴い、米国の研究開発・イノベーション投資が落ち込み、タイの技術開発に影響する可能性がある。

タイの産業界に対しては、米国大統領選による政策変化の対応として、米国以外への輸出拡大によるリスク分散のほか、競争力維持のための付加価値向上や、再生可能エネルギーなどへの投資検討を促した。また、タイ政府としても、クリーン技術に関わるインフラ・人材開発を加速し、他国への技術依存を低減するために国内で研究開発を促進する必要があるとした。また、投資誘致では域内の他国と連携しながら、強靭(きょうじん)なサプライチェーンを構築するべきとの認識を示した。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国)

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