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欧州産業連盟、EUに長期的な視点に立った対中戦略策定を提言(EU、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月27日 9時55分

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は11月20日、対中関係に関するEU新体制への提言書を発表した(プレスリリース)。中国は欧州企業にとって今後も重要市場だとして、互恵関係構築の重要性を訴えた。一方で、中国との事業リスクが増大しつつあり、EU加盟国は団結し、長期的な戦略に基づく対中アプローチを採るべきだとした。

提言書は、中国事業の課題として、近年の地政学的変化や、改善が進まない市場アクセス、中国経済の停滞を挙げた。中国政府の大規模な補助金政策による市場歪曲(わいきょく)や過剰生産なども懸念される。また、中国企業の成長に伴い、中国だけでなく、第三国市場でも欧州企業との競争が激化していると指摘した。

そこで、EUは経済安全保障戦略や関連政策(2024年1月29日記事参照)を指針とし、デリスキングを進めていくべきと提言した。同時に、EUの産業競争力強化も不可欠として、新たな産業政策の策定や単一市場の強化などを訴えた。通商防衛措置を活用してEUの利益を保護しつつも、自由貿易、同志国との連携、中国との対話も重視するよう要請した。

さらに、加盟国の個々の利益追求がEU全体の利益を損なわないよう、加盟国は共同歩調を取るべきだと強調した。加盟国に対する外国の圧力への対応については、「全会一致」ではなく「特定多数決方式」を採るべきと進言。中国専門家の育成やEUレベルでの情報共有の必要性も指摘した。中国に対する要望を明確にし、現在の地政学的状況に応じた包括的な展望を持った上で、具体的な目標や優先事項を盛り込んだ長期的な戦略の策定が必要と訴えた。また、画一的なアプローチではなく、産業部門ごとに異なるニーズの把握や最も効果的な手段の選択のため、産業界との連携を促した。

提言書は、特に取り組みが遅れている中小企業を念頭に、欧州企業に対してもグローバル事業全体のリスク評価や主要市場の経済動向の把握のほか、供給元の多角化や中国の子会社からの技術流出の抑止などを進めるよう推奨した。

(滝澤祥子)

(EU、中国)

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