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米最高裁、政府によるSNS上の誤情報の削除要請を承認(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 13時45分

米国の最高裁判所は6月26日、米連邦政府がSNS運営企業に対し、誤情報や不適切とみなされた投稿の削除を求めたジョー・バイデン政権の対応を容認する判決を下した

今回の判決が提示された訴訟は、共和党色の強い米国ミズーリ州とルイジアナ州およびソーシャルメディアのユーザー5人が2022年に提訴したもの。原告側は、新型コロナウイルス禍と2020年の大統領選挙期間中、連邦政府関係者が誤解を招く可能性のある投稿の削除をSNS運営企業に要請したことは、表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反するものであり、言論を抑制するよう各社に圧力をかける行為だと主張した。

最高裁判所は、原告側が訴訟を起こすためには、政府の行動によって実際に被害を受けた、または今後その可能性があることを証明する必要があるが、今回は(1)SNSプラットフォーマーも独自のガイドラインを用いて削除を行っており、政府の要請と原告が受けた被害との間の因果関係を証明できていないこと、(2)差し止めを求める際に必要となる、政府の行動に伴う将来的な被害の可能性を実証できていないこと、(3)原告が主張する「聞く権利」が認められるだけの関係が投稿者と閲覧者の間に認められないこと、から原告適格がないと判断し、6対3で訴えを棄却する判決を下した。

この判決を受けて、ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官は「最高裁判所の判決は正しいものだ。米国民の安全を守るための重要な仕事に従事する公務員に対する共和党の極端かつ根拠のない攻撃が何年も続いてきたが、この判決は、バイデン政権がテクノロジー企業と協力して国民の安全とセキュリティーを守るための重要な仕事を継続するのを保証するために役立つ」と、最高裁の判決を称賛した(CNN6月26日)。

一方で、コロンビア大学のナイト憲法修正第1条研究所の訴訟ディレクター、アレックス・アブド氏は「SNSプラットフォームは公的圧力の魅力的なターゲットで、最高裁が許容され得る要請と、許容され得ない強制の境界線を明確にすることは極めて重要だ」とし、最高裁はこの問題に関する法律を明確にする機会を逃したと述べた(NBCニュース6月26日)。

近年、SNS上のコンテンツの規制制限を巡る議論は活発化している。最高裁は2024年2月、SNS運営企業が不適切とみなす投稿を抑制する権限を制限するフロリダ、テキサス両州の州法の合憲性について口頭弁論を開いている。訴訟はメタなどSNS大手が加盟する業界団体「ネットチョイス」とコンピューター通信産業協会(CCIA)が起こしたもので、裁判では運営企業によるコンテンツモデレーション(投稿監視)を規制する州法が、企業の言論の自由を奪っていないかどうかが争点となり、今後の動向が注目される(ロイター2月26日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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