米USTR、米EU貿易技術評議会(TTC)のグローバル通商課題WGに関するパブコメ募集(米国、EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月6日 13時45分
米国通商代表部(USTR)は9月5日、米国EU貿易技術評議会(TTC)の下で設置されたグローバル通商課題ワーキンググループ(WG)に関して、パブリックコメントを募集すると官報で公示した。提出されたコメントは、今後の欧州委員会通商総局との協議に活用する。ただし、今後のTTCの開催には先行きに不透明感が漂っている。
TTCは、民主的価値に基づいて新興技術や貿易面での課題に対応する新たな協力枠組みとして、2021年の米EU首脳会談(2021年6月16日記事参照)で合意した。直近では、第6回閣僚会議がベルギーで行われた(2024年4月11日記事参照)。TTCの下では10のWGが設置されており(注)、グローバル通商課題WGでは、(1)デジタル技術の活用を含めた包摂的で持続可能な物品・サービスの米EU間貿易の強化、(2)米国とEUの労働者と企業の競争力を不当に損なう非市場的な政策と慣行への対処・対抗、(3)TTCを通じて設置された大西洋横断貿易労働対話(TALD)を含む貿易と労働問題が協議されている。今回、USTRがコメントを求める内容も、主にこれら3つの趣旨に沿っている。具体的な内容は次のとおり。
(1)の目的に照らし、米国とEUの協力をどのように相互に有益な方法で改善または拡大できるか。
(2)の目的に照らし、通商手段の協力・調整をどのように拡大・強化、あるいは新たな手段を設けることができるか。既存の手段をどのように効果的に用いるか。重点的に取り組むべき特定の分野はあるか。最も懸念される非市場的な政策や慣行は何か。また、そのような非市場的政策や慣行はどのようにして利益を害するか。
(3)の目的に照らし、米国と EU の労働者と企業のニーズによりよく対応するために、どのように協力と協調を拡大、強化できるか。
パブリックコメントは、連邦政府のポータルサイト(USTR-2024-0017)から提出可能で、締め切りは官報公示後の45日後の10月21日午後11時59分(東部標準時)に設定されている。
TTCについては、米EU間の関係改善に貢献するとともに、ロシアのウクライナ侵攻に伴う輸出規制の発動など、両者の協調的な取り組みを促進したとの評価がある一方で(米通商専門誌「インサイドUSトレード」9月4日)、鉄鋼・アルミニウム製品の関税問題、インフレ削減法(IRA)のクリーンビークルへの税額控除でのEUの扱いといった重要な通商課題では進展がみられなかった。また、次回のTTCは、少なくとも11月の米国大統領選挙が終わるまでは開催されないとみられている上、選挙の結果次第では、前回のTTCが最後になるとの報道もあり、今回募集されたコメントが、どのようなかたちで活用されるのか、今後の動向が注目される。
(注)グローバル通商課題以外の9つのWGは次のとおり。技術標準、気候変動とグリーンテック、安全なサプライチェーン、情報通信技術とサービス(ICTS)の安全性と競争力、データガバナンスと技術プラットフォーム規制、安全保障と人権を脅かす技術の悪用、輸出規制、投資審査、中小企業のデジタル技術へのアクセスと利用の促進。
(赤平大寿)
(米国、EU)
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