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チェコ電力、英国ロールスロイスSMRと協力、小型モジュール炉開発へ(チェコ、英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 0時20分

チェコ電力(CEZ、本社:プラハ)は10月29日、英国ロールスロイスの小型モジュール炉(SMR)関連子会社のロールスロイスSMR(本社:ダービシャー)と、SMRの開発・建設に関する戦略的パートナーシップ協定に調印したと発表した(プレスリリース)。CEZはロールスロイスSMRの株式の約20%を取得し、同社の技術を備えた発電所で、チェコ国内で最大3ギガワット(GW)の発電が可能になる。

ロールスロイスのSMR1基当たりの発電量は470メガワット(MW)で、比較的安価で二酸化炭素(CO2)を排出しない電力の安定供給が見込まれるとCEZは説明している。また、CEZは同協定に基づき、チェコ以外の欧州でのSMR建設プロジェクトでも、両社が協力していくことを期待する。

CEZのダニエル・ベネシュ最高経営責任者(CEO)は「ロールスロイスSMRとの提携や、CEZの技術開発への参画は、原子力部門での発展を目指す上で、CEZと現地サプライヤーが今後重要な役割を果たす機会と可能性をもたらす」と述べている。

ロールスロイスのトゥファン・アーギンビルギッチCEOはCEZとの協定の締結について、「ロールスロイスSMRの英国、チェコ、そして世界規模での事業の成功をもたらす」と歓迎の意を述べた。

調印式には、CEZの約70%の株式を保有するチェコ政府からペトル・フィアラ首相も出席した。同首相はベネシュCEOと同様、今回の協定締結によってSMR部門のチェコの重要性が増す点を強調し、「わが国は世界規模でSMRのイノベーション、開発、生産に参加することが可能になる」と述べた。また、エネルギー安全保障にも言及し、「エネルギー自給率の向上と、リーズナブルな価格での電力供給の確保という目的の実現に向けて前進した」と指摘した。

チェコは原子力を重要なエネルギー源と位置付けており、国内で運転中のドコバニ原子力発電所とテメリン原発の拡張計画を進めている(2024年7月25日記事参照)。ドコバニ原発に増設する原子炉は2038年に本格運転を開始する予定だ。一方で、拡張後もチェコの電力需要を満たせない可能性があることから、SMRで補うことが適切としている(2023年6月16日記事参照)。

CEZは1基目のSMRをテメリン原発近くに建設し、2030年代前半の完成を目指す。このほか、現在、石炭火力発電所が立つトシミツェ(北ボヘミア)とジェトマロビツェ(北モラビア)の2カ所も、SMR建設候補地と定めて、事前調査を進めている。

(中川圭子)

(チェコ、英国)

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