イスラエル中銀、政策金利を4.5%に据え置き、地政学的な不確実性の高まりを警戒(イスラエル、パレスチナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月12日 14時50分
イスラエル中央銀行は4月8日に金融委員会会合で政策金利を4.5%に据え置くことを決定した。2会合連続の据え置きとなる。中銀のアミール・ヤロン総裁は記者会見で、2023年10月7日のハマスとの戦闘開始から半年が経過し、「イスラエル経済の回復力を目の当たりにしてきたが、地政学的な不確実性が大幅に高まっていることを示す最近の情勢を踏まえ、金融委員会は慎重な対応を決定し、金利を据え置いた」と述べた。
2024年2月の消費者物価指数(CPI)は前月比で0.4%上昇し、前年同月比は2.5%と目標範囲内にある。中銀調査部が公表した経済見通しでは、2024年と2025年のインフレ率をそれぞれ2.7%、2.3%と予想している。
2024年2月の前回の金融政策決定(2024年2月29日記事参照)以降、通貨シェケルは対ドルで約2.7%、対ユーロで約2.6%、名目実効為替レートでは約2.3%下落したとしている。
金融委員会は、インフレ加速のリスクとして、戦争の進展と経済活動への影響、シェケル安、建設業界の活動制限、財政動向、国際原油価格などを挙げた。さらに、総供給の拡大が総需要の拡大を下回っており、この傾向はインフレ圧力につながりやすいと指摘した。
中銀調査部は、戦争の影響は時間とともに減少するとして、GDP成長率見通しを2024年は2%、2025年は5%としている。
2025年第1四半期の政策金利は3.75%、財政赤字額は2024年にGDP比6.6%、2025年に同4.6%と予想している。債務残高のGDP比は2024年に67%まで上昇し、2025年も同水準で推移するとみている。
次回の政策金利決定は5月27日に予定されている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(アンナ・ジュコブ、中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ)
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