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バイデン米政権、省庁横断の対ロシア制裁を発表、40の事業体を禁輸対象に追加(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 10時45分

米国のバイデン政権は10月30日、複数の省庁によるロシア制裁を発表した。商務省産業安全保障局(BIS)は、輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)への40の事業体の追加、既存のEL掲載事業体への規制強化、特定の前駆的化学物質の輸出規制の追加を発表した。いずれも11月1日に官報(EL追加の官報化学物質の規制強化官報)で公示の予定で、同日から有効となる。また、国務省と財務省は合計で400近い個人・事業体を、金融制裁対象である「特別指定国民(SDN)」に指定した(2024年10月31日記事参照)。

今回ELに追加する事業体の所在地は、トルコで14、ロシアで13、中国で11、インドで5、マレーシアで2、シンガポールで1となっており(注1)、追加理由は第三国を介した米国原産品のロシアへの輸出やロシアの化学・生物兵器プログラムへの関与、ロシアの軍事エンドユーザーであることなどだ。ELは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。ただし、今回追加する多くの事業体に対しては、「不許可」「原則不許可」の審査方針がとられるため、実質的には輸出などができなくなる。

BISはまた、ロシアに横流しするため、機微な製品の大量積み替えに関与している4つの住所をELに追加する。BISは2024年6月に、ダミー会社に使われる危険性の高い住所をELに追加する新しい規制枠組みを創設していた(2024年6月13日記事参照)。さらに、既にELに追加されている49の事業体を、ロシアの防衛産業または情報機関の調達ネットワークに供給または転用する可能性が極めて高いとして、ロシアとベラルーシに対する外国直接製品(FDP)ルール(2024年8月26日記事参照)の対象とする。

加えてBISは、特定の化学兵器や暴徒鎮圧剤に使用される可能性がある、9種類の前駆的化学物質(注2)を、ロシアとベラルーシを対象とする輸出規制の対象品目に加える。これらの前駆的化学物質は主に商業用に使用されているが、BISは、ロシアが暴動鎮圧剤や化学兵器のクロロピクリンをウクライナに対して使用したことから、ロシアによる化学物質の兵器化の懸念が高まっているとし、これら化学物質の原料となる前駆的化学物質を規制すると述べた。

(注1)1つの事業体が複数の住所で掲載されるため、追加された事業体の合計とは一致しない。

(注2)マロノニトリル、2-クロロベンズアルデヒド、2-クロロベンジルアルコール、2-クロロベンジルアミン、1-クロロ-2-(ジメトキシメチル)ベンゼン、アセトフェノン、クロロアセチルクロリド、クロロホルム、o-アミノフェノールの9つ。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

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