バイデン米大統領、サイバーセキュリティー強化の大統領令を発令、請負業者の報告要件も規定(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月17日 13時40分
米国のジョー・バイデン大統領は1月16日、米国のサイバーセキュリティーの強化に向けた大統領令を発令した。
ホワイトハウスが15日に発表したファクトシートでは、敵対国や犯罪者による米国政府や企業、国民を標的としたサイバー攻撃によって、米国の国家安全保障上の脅威が生じているなどと指摘した。特に中国について、最も活動的で常習的な米国のサイバーセキュリティー上の脅威だと位置付けた。その上で、同大統領令では、連邦政府機関の通信データの身元確認・暗号化の強化(第4条)や、重要インフラのサイバーセキュリティーへの人工知能(AI)の利用推進(第6条)、サイバー攻撃に対する制裁措置の執行強化(第9条)などの方針を規定した。また、連邦政府機関にソフトウエアを提供する請負業者のサイバーセキュリティーに関する報告義務の方針も規定した(第2条)。同条の主な内容は次のとおり。
第2条(b):連邦調達規則(FAR)委員会は連邦政府機関請負業者に対し、2021年5月の大統領令(2021年5月14日記事参照)で規定したサイバーセキュリティー要件の順守を証明する書類の国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー・社会基盤安全保障庁(CISA)への提出を義務付けるよう、FARを改正する(大統領令発出から150日以内)。
第2条(c):商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は、連邦政府機関が調達するソフトウエア開発・運用実務の指針を作成(同60日以内)、パッチ・アップデートの指針を提供するための「情報システムと組織におけるセキュリティーおよびプライバシー管理策(NIST SP 800-53)」(同90日以内)を更新、「セキュアソフトウエア開発フレームワーク(SSDF、NIST SP 800-218)」を更新する(同300日以内)。
米国では、トランプ次期政権の発足まで1週間を切った。大統領令は一般的に、後任の大統領が同意できない内容ならば、撤回または修正できる。トランプ次期政権のサイバーセキュリティー政策の詳細は不明ながら、米国政治専門紙「ポリティコ」(1月16日)は、ドナルド・トランプ次期大統領がバイデン政権下の政策の多くを撤回する意向であることを踏まえ、「この大統領令を維持するかどうかは不明だ」と指摘している。他方で、トランプ前政権下の2018年11月にCISAが設置された実績などを踏まえれば、サイバーセキュリティー強化の基本的な路線は維持される可能性もある。
(葛西泰介)
(米国)
外部リンク
- 2025年の世界経済成長率は2.7%と低水準で推移、世界銀行見通し(世界)
- サウジアラビアで第4回未来鉱物フォーラムが開催(サウジアラビア)
- 米商務省、北東部の半導体・製造装置生産事業への助成提供3件を確定、CHIPSプラス法に基づき(台湾、米国、英国)
- 米USTR、中国の海事・物流・造船分野に関する301条調査結果を公表、輸入制限措置の内容は今後決定(中国、米国)
- 米財務省、債務上限に対応するための非常手段の発動を宣言(米国)
- 韓国、2024年の自動車生産は2.7%減、輸出は微増(韓国)
- 米USTR、バイデン政権の通商協定のモデルとなる協定文書を発表(中国、米国)
- 米国土安全保障省、スーダン、ウクライナ、ベネズエラ、エルサルバドルからの移民の一時保護資格を延長(エルサルバドル、スーダン、米国、ベネズエラ、アフリカ、ウクライナ)
- ウズベキスタン、UAEと戦略的パートナーシップ確立を宣言(ウズベキスタン、アラブ首長国連邦)
- 2025年予算法が議会通過、中低所得層の減税など焦点(イタリア)
この記事に関連するニュース
-
トランプ次期大統領、就任初日に大統領令約100本に署名の方針
日テレNEWS NNN / 2025年1月20日 12時38分
-
「エネルギー支配」へ規制緩和=大統領令発表も―トランプ次期米政権
時事通信 / 2025年1月15日 15時31分
-
バイデン米大統領、AIデータセンターインフラ増強の大統領令を発令(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月15日 14時30分
-
米、サイバーセキュリティー強化へ近く大統領令 中国脅威に対応
ロイター / 2025年1月13日 13時16分
-
XにもYouTubeにもない「底知れない拡散力」がある…米国政府が本気で「TikTok規制」に乗り出す本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 17時15分
ランキング
-
1中国、事件発生から2カ月余りで死刑執行 珠海で35人死亡の車暴走と無錫の8人切り付け
産経ニュース / 2025年1月20日 16時48分
-
2人質解放、歓喜するイスラエル市民=帰還の3人、涙流し家族と抱擁
時事通信 / 2025年1月20日 8時28分
-
3人質帰還を喜ぶテルアビブ市民、パレスチナ人釈放には「テロリストが野放しになる」と反対論も
読売新聞 / 2025年1月20日 18時52分
-
4インドネシア大統領、支持率81% 無料給食など評価
ロイター / 2025年1月20日 15時47分
-
5尹大統領、弾劾審判出席へ 捜査当局、連行できず
共同通信 / 2025年1月20日 23時3分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください