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重慶市、賽力斯(セレス)の販売好調を受け新エネ車生産台数が大幅増(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月9日 0時40分

中国・重慶市経済・情報化委員会(以下、重慶市経情委)は7月26日、同市の2024年1~6月の自動車生産台数が121万4,000台だったと発表した。うち、新エネルギー車の生産台数は前年同期から2.5倍の39万1,000台で、中国全体の伸び率(30.1%増)を大きく上回った。また、同市における販売価格20万元(約400万円、1元=約20円)以上の車両の生産台数も2.3倍の29万4,000台と大幅に増加した。

重慶市に本社を構える大手国有自動車メーカー、長安汽車の生産台数をみると、2024年1~6月は前年同期比5.9%増の123万4,042台だった。傘下企業の内訳をみると、重慶市に生産拠点を置く重慶長安と長安福特(注1)は、それぞれ55万3,747台(2.2%増)、11万515台(18.9%増)だった。また、同じく重慶市に本社を置く賽力斯集団(セレス)の生産台数は2.6倍の23万6,285台、うち86.3%を占める新エネルギー車の生産台数は4.5倍の20万3,925台だった。同社は8月2日に微信(WeChat)公式アカウントにおいて、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と共同開発した車種「問界(AITO)」シリーズの1~7月の累計納車台数が22万2,679台となったと発表した(注2)。同シリーズのうち、2023年12月に発表した「AITO M9」の2024年7月の納車台数は1万8,047台と、販売価格50万元以上の車種の中で首位になったとした。

また、重慶市政府の発表によると、2024年1~6月の同市の自動車輸出総額は前年同期比34.9%増の200億1,000万元だった。

同市では自動車輸出の増加に伴い、東南アジアとの間を結ぶ陸海複合輸送ルートである西部陸海新ルートの利用が増加傾向にある。重慶市を起点とした西部陸海新ルートは、国家発展改革委員会が2019年8月に「西部陸海新ルート全体規画」において「主要ルート」と位置付けた、(1)重慶市から貴州省貴陽市、広西チワン族自治区南寧市を経て北部湾(トンキン湾)へ、(2)重慶市から湖南省懐化市、広西チワン族自治区柳州市を経て北部湾へ通じ、そこから海路でASEAN諸国に輸送するルートが整備されてきた(2024年3月8日付地域・分析レポート参照)。このほか、2024年6月27日には重慶市から雲南省昆明市および同省モーハン口岸を経てラオス(ビエンチャン)、タイ(バンコク)を経由し、マレーシア(セランゴール)までを結ぶ貨物列車の運行も開始するなど、陸路(鉄道路線)でASEANとの間を結ぶ新たなルートの建設も進められている。

こうした中で、同市政府は4月18日に「重慶市の西部陸海新ルートの質の高い発展を支持する政策措置」を発表。同措置の中で、自動車の輸出支援策として、自動車専用船や自動車輸送用貨車などを活用した長江水運、海運、鉄道の複合輸送ネットワークの整備に向けた取り組みを盛り込んだ。

また、重慶市両江新区管理委員会の許宏珠副主任は7月26日の記者会見で、「果園港(注3)をハブとした鉄道、道路、水運、空運の複合輸送により低コストかつ高効率の国際輸送ルートを構築している」と強調。そのうえで、許副主任は「重慶市で製造された自動車は、果園港から世界中に輸送されており、東南アジア市場への輸送時間は従来の1カ月から1週間に短縮された」と言及した。

(注1)長安汽車と米国自動車大手のフォードによる合弁企業。

(注2)なお、セレスは7月4日に「問界(AITO)」ブランドを共同運営するファーウェイから、同ブランドの商標権などの買収を発表した(2024年7月18日記事参照)。

(注3)果園港(重慶市)は長江上流に位置する中国最大の河川港。2019年に国家発展改革委員会および交通部の批准を受けた鉄道、道路、水運の複合輸送の国家物流ハブ拠点。

(王植一)

(中国)

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