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DEFA交渉分野に対する産業界の意見を聴取する会合を開催(ASEAN)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月19日 1時0分

ASEAN経済諮問評議会(ASEAN-BAC)は9月9日、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA、注)交渉に組み込むことを目的に、DEFAの各交渉分野へのASEAN産業界からの提言を求める会合を初めて開催した。

交渉委員会(議長国:タイ)のプリュープレー・チュンルン議長が出席したほか、ASEAN事務局で電子商取引(EC)やデジタル経済を担当する部局(ACCED)や、ASEANで事業を展開する地場系および外資系の銀行、フィンテックなどのノンバンク、EC事業者、インターネットサービス事業者、シンクタンクなどが参加した。外資系企業は、米国、欧州、中国の企業が中心で、日本企業の参加はなかった。会合では、「DEFAにおけるデジタル決済構想」「デジタル人材の流動性促進」「DEFAを通じたASEANにおけるデジタルIDの協力と相互運用性」の3つのテーマについて議論が行われた。

プリュープレー議長は「DEFAが具体的な利益をもたらすためには、民間セクターと公的セクターの協力が重要」と強調した。同議長はデジタル決済について、「銀行口座を持たない市民のニーズにも対応できる、国際基準に準拠した相互運用可能で安全なシステム構築が必要」としたほか、デジタル人材の流動性については、「デジタル人材に関する資格の相互認証などが重要」との認識を示した。また、デジタルIDは技術標準とプライバシーに関する懸念への対応に重点を置く必要性を訴えた。

金融サービスを提供する米国企業は、域内でのデジタル決済の相互運用性が重要と指摘したうえで、「民間企業が技術面で先行するなか、規制のサンドボックス制度を活用して、官民が連携しながら制度整備を行う必要がある」とした。デジタル人材の流動性促進の議論では、ソフトウエア・サービスを提供する欧州企業が、国境を越える流動性を高めるにはビザ発給要件の標準化が必要とし、「学位などで証明できないスキルを有する優秀なデジタル人材の要件定義は柔軟になされるべき」との見解を示した。

(注)DEFAは2023年9月に交渉開始が宣言され、2025年中の交渉妥結を目指している(2024年9月4日記事参照)。「デジタル貿易」「国境を越える電子商取引」「決済・電子請求書」「デジタルID・認証」「オンライン上の安全・サイバーセキュリティー」「国境を越えるデータフロー・データ保護」「競争政策」「新興トピックに関する協力」「人材の流動性と協力」の9つを交渉分野としている。ASEANは、DEFAがASEANのデジタル経済の規模を2030年には2兆ドルまで押し上げるとしている。

(大滝泰史)

(ASEAN)

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