米国のタイヤAD措置、中国企業以外のタイ産業界にも影響(タイ、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年1月19日 11時30分
タイ工業連盟(FTI)は1月15日、米国のタイ製自動車用タイヤに対するアンチダンピング(AD)措置がタイの自動車産業や農業に深刻な影響を及ぼすとして、懸念を表明した。同日付の「バンコク・ポスト」など主要紙が伝えた。FTIによると、今回の米国の措置の主目的はタイに進出する中国系メーカーに対する貿易障壁を設けるためで、米中貿易摩擦に起因しているという。
今回FTIが指摘したのは、2020年12月30日に米国商務省が、タイ、ベトナム、韓国、台湾からの乗用車・軽商用車のタイヤに対してAD措置を行うという暫定決定をした件(ケース番号A-549-842)で、対象はLLITタイランド(中国の山東玲瓏タイヤの子会社)製のタイヤに22.21%のほか、同社以外のタイ製タイヤにも16.66%~13.25%のダンピングレート分の税率が追加で課される見込み。元の一般関税率は3.4%~4.0%。米国商務省によると、暫定決定に基づく税率は2021年1月6日から適用され、最終決定は5月13日の見通し。
米国商務省の統計によると、今回対象となる各種タイヤの米国の総輸入量(2019年)は年間1億5,500万本で、このうちタイからの輸入が24%を占める。韓国(11%)やメキシコ(9%)を引き離して首位となっている。中国のシェアは2%しかないが、同国は2015年時点では16%と首位だった。同時点ではタイと韓国が各13%で2位だったが、山東玲瓏タイヤや中策ゴムなどの中国タイヤ大手がタイ工場を稼働させた2014~2015年を境に、タイと中国のシェアが逆転している。
タイ商務省統計(2019年)によると、HS6桁ベースでみた場合、タイにとって乗用車タイヤは10位、商用車タイヤは19位の輸出品目で、総輸出額の2.1%を占める。同2品目の輸出先は米国が49.7%と約半分を占める。そのため、米国のタイ製タイヤへのAD措置はタイヤメーカーのほか、原料であるゴム産業にも影響を及ばすとみられる。また、タイでは東部経済回廊(EEC)地域を中心に、日系大手タイヤメーカーも操業しており、米国に輸出しているメーカーは影響を受けることになる。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、米国)
この記事に関連するニュース
-
1月の自動車生産台数、前年同月比5.2%減の14.8万台(タイ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年2月22日 1時10分
-
2020年の貿易総額、前年比3.6%減、下半期は回復基調(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年2月18日 9時0分
-
国会がRCEP協定を承認(タイ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年2月12日 14時20分
-
2020年の中国の対米輸入は前年比10.4%増も、米中合意の達成率は58%(中国、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年2月10日 0時0分
-
米、中国製垂直シャフトエンジンに関税発動へ ITCが損害認定
ロイター / 2021年2月3日 8時16分
ランキング
-
1北朝鮮大使館を襲撃した“謎の集団”…「事件はやらせだった」実行犯の韓国系アメリカ人が新証言
文春オンライン / 2021年2月28日 11時30分
-
2「日米韓協力で外交孤立から抜け出して」と韓国・保守系紙、「中国側に漂流する韓国」とも批判
Record China / 2021年2月28日 14時10分
-
3韓国が陥った「デッドクロス」、文大統領の人口政策はなぜ効果が出ないのか―米華字メディア
Record China / 2021年2月28日 6時50分
-
4米国防総省報道官が「日本の尖閣主権支持」発言を訂正=中国紙「日本はぬか喜び?」
Record China / 2021年2月28日 18時30分
-
5香港当局、民主派47人起訴=国家政権転覆罪
時事通信 / 2021年2月28日 18時34分