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半導体研究機関imec、次世代半導体の試作ライン整備、欧州の競争力強化へ(ベルギー)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月27日 1時0分

ベルギーのナノエレクトロニクスとデジタル技術分野の世界的な研究機関imec(アイメック、本部:ルーバン)は5月21日、回路線幅が2ナノメートル以下のシステムオンチップ(SoC)の試作ラインを整備すると発表した(プレスリリース)。EUで2023年9月に成立した欧州半導体法(2023年4月20日記事参照)に基づく取り組みで、イノベーションと経済成長を促し、欧州の半導体産業全体の強化への貢献を目指す。投資予定額は25億ユーロで、半導体共同事業体(Chips JU、注1)やフランダース政府(注2)から、合計14億ユーロが拠出される。残る11億ユーロについては、オランダ半導体製造大手ASMLを含むパートナー企業からの民間資金を活用する。

今回の試作ラインの整備には、フランス原子力・代替エネルギー庁の電子情報技術研究所(CEA-Leti)や、ドイツのフラウンホーファー研究機構、フィンランド国立技術研究センター(VTT)、ルーマニアの表面科学ナノテクノロジーセンター(CSSNT)、アイルランドのティンダル国立研究所も参画する。imecはまた、最先端技術の実装を促すため、初期段階のプロセス設計キット(PDK)を企業や研究機関、大学などに提供する。ファウンダリーや垂直統合型デバイスメーカー(IDM)にとっては、プロトタイプの段階でイノベーション評価が容易になり、投資前のリスク回避につながるだけでなく、産業プロセス開発のスピードと効率性の向上が期待できる。

imecは、試作ラインの成功には、汎欧州的な設計プラットフォームの開発と、設計技術を高めるための訓練や支援へのアクセスが重要だとしている。設計プラットフォームは、先端技術を活用した新製品の開発を加速させ、市場投入までの時間を短縮することができるという。今回の試作ラインの整備により、企業は本格的な量産の前に新技術をテストすることができ、自動車や電気通信、ヘルスケアなどを含む多様な産業で、最新の半導体技術を活用した革新的な製品開発につながることが期待される。

(注1)半導体に関わる研究開発補助金プログラム「欧州半導体イニシアチブ」で定められた活動の実施を担う機関。同イニチアチブは、EUの研究開発支援プログラム「ホライゾン・ヨーロッパ」と、デジタル技術の普及促進プログラム「デジタル・ヨーロッパ・プログラム」から拠出を受ける。imecが今回行う試験的生産ラインの整備は、Chips JUが公募した助成案件に採択されている。

(注2)ベルギーは連邦制で、産業分野の政策は各地域政府が管轄している。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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